沸騰水型炉の停止点検を:保安院がひび割れの恐れのある制御棒の全挿入を指示

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東京電力は2月1日、制御棒でみつかっているひび割れに関して、報告書「福島第一発電所6号機におけるハフニウム板型制御棒のひび及び破損について」を原子力安全・保安院に提出しました。

東京電力は報告書の中で、制御棒の骨格に当たる部材であるタイロッドにひび割れが起きたことやさやにこれまでの知見を超えるひび割れが発生していたことから、寸法安定性を保持しておらず、ひび割れがみつかった制御棒をひきつづいて使うことはできないとしながらも、緊急停止時や地震時に発生すると予想される応力より、ひび割れが起きている状態での許容値の方が大きいので、原子炉を停止するうえでの構造的な安全上の問題はない、と説明しようとしています。(全挿入試験を行なった結果、とくに問題はなかったとしていますが、挿入信号発信から全挿入までにかかった時間が、各制御棒で何秒であったかなどの具体的な結果は公表されていません。)

これに対し保安院は、2月3日、ひび割れが起きている制御棒に対して「構造健全性が維持されるとする東京電力の評価の妥当性が確認できない」として、運転中の原子炉の中にあるハフニウム板型制御棒で、中性子照射線量が4.0×10^21個/cm^2を超えたもの、今運転期間中に超えるものに対してはその時点で、該当する制御棒を全挿入位置にすることを、この型の制御棒を使っている電力各社に指示を出しました。

つまり、ひび割れが起きている制御棒を使いつづけると、緊急停止の際や地震が起きた場合に、さややタイロッドが破損し、制御棒が挿入されない恐れが具体的にあり、原子炉が停止できなくなる危険性が高いということでしょう。

これだけ大規模なひび割れが起きた原因はわかっていません。中性子照射量が大きく関係しているとみられていますが、他の要因、たとえば燃料集合体の種類や制御棒との位置、水質の管理状態、製造上の問題はなかったか、ひび割れがハフニウム板型制御棒に固有のものなのか、設計上の問題はないのかなどさまざまな要因が考えられます。

出力を抑制した状態での原子炉を運転することは原子炉を不安定にし、1988年3月に米国ラサール原発で起きた出力振動のような事故をまねく危険性がある。沸騰水型原子炉を運転する電力各社には、ひび割れの恐れのある制御棒を挿入した状態での運転ではなく、すみやかにすべての原子炉の運転を止めて制御棒の一斉全挿入試験、外観の点検などを行なうことを求めます。

■東京電力
福島第一原子力発電所6号機のハフニウム板型制御棒のひび等に関する点検状況の経済産業省原子力安全・保安院への提出について
www.tepco.co.jp/cc/press/06020101-j.html

■中部電力
その他 東京電力(株)で確認されたハフニウム板型制御棒のひび等への対応について(続報)(浜岡原子力発電所におけるハフニウム制御棒の点検等の状況)
www.chuden.co.jp/torikumi/atom/hamaoka/detail/300/data/180203topics.pdf
ハフニウム板型制御棒に関する原子力安全・保安院の指示文書への対応について
www.chuden.co.jp/corpo/publicity/press2006/0203_2.html

■原子力安全・保安院
東京電力(株)福島第一原子力発電所第6号機のハフニウム板型制御棒のひび等に関する対応について
www.meti.go.jp/press/20060201005/20060201005.html

東京電力(株)福島第一原子力発電所第6号機のハフニウム板型制御棒のひび等に関する対応について(原子力安全委員会への説明資料)
www.nsc.go.jp/anzen/shidai/genan2006/genan007/siryo4.pdf

東京電力(株)福島第一原子力発電所第6号機のハフニウム板型制御棒のひび等に関する対応について
www.meti.go.jp/press/20060203006/20060203006.html