原子力規制委員会、大飯活断層調査に思う

 11月7日、2度目の大飯発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合があった。この日に事態がはっきりするかと期待していたが、結論は持ち越しとなった。追加調査をすることになったからである。

 F6と番号の振られた破砕帯が紛れのない活断層だと主張する渡辺満久委員に対して、関電および電力中央研究所は地すべりであって活断層でないと主張している。その意向を受けたのか、岡田篤正委員は11月4日の会合では地すべりの可能性もあると主張していたが、7日の会合では明確な地すべり説支持は述べなかった。他の二人の委員も地すべり説に疑問を持ち支持していない。

 島崎座長はちゃんと調査をすれば紛れる話ではないと述べていた。彼の中には結論が見えているのかもしれない。傍聴席からは大飯原発を止めて調査をすることを求める野次が飛んでいた。

 議論を聞いていると、活断層であることがはっきりしなければ活断層とは言えないという土俵に乗せられているような奇妙な気分に陥ってしまう。地すべりであることが明瞭でなければ、安全サイドに立って活断層だとの認識で対応すべきだ。このことは、2010年12月20日に旧原子力安全委員会の定めた「発電用原子炉施設の耐震安全性に関する安全審査の手引き」の中にも「耐震設計上考慮する活断層が存在する可能性が推定される場合は、他の手法の調査結果も考慮し、安全側の判断を行うこと」と明記されている。

 追加調査によって関西電力が活断層であることを認定すればよいが、これまでの行状からはそうなる見通しは暗い。平気で黒を白と言い張るのが電力会社だ。新生原子力規制委員会の英断を求めたい。信頼される規制委員会となるために。

(伴 英幸)