「JCO臨界事故総合評価会議」9月25日に臨界事故に関する新たな研究結果を発表

【9/25東京報告会・9/26水戸集会配布資料】

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「JCO臨界事故総合評価会議」9月25日に臨界事故に関する新たな研究結果を発表

※追記・9月25日の報告会で発表した報告書は在庫僅少となりました。再版の予定が固まりましたら再度ご案内させていただきます。

JCO臨界事故総合評価会議
(事務局:原子力資料情報室・原水爆禁止日本国民会議)
2004年9月

 99年9月30日のJCO臨界事故から5年を迎えるのを機に、JCO臨界事故総合評価会議は9月25日午後13時半から、江戸東京博物館で研究報告会を開催する。
 JCO臨界事故総合評価会議は、在野の専門家によって構成された調査組織で、99年の発足以来、臨界事故の原因と影響について原子力行政・産業から独立した立脚点から研究を続けてきた。すでに『JCO臨界事故と日本の原子力行政』(七つ森書館・2000年)、『JCO臨界事故・3年後に見えてきたもの』(自主出版・2002年 cnic.jp/jco/jcac/ で配布)を発表している。
 その後、JCO刑事裁判の公判と判決(2003年3月)、およびその後可能になった刑事記録の閲覧を通じて、原子力安全委員会の事故調査委員会が参照しなかった一次資料や関係者の証言をも検討することが可能になった(刑事記録の閲覧分析にはトヨタ財団の研究助成を得た)。
 総合評価会議の独自性は、事故原因にかかわりのある当時者や原子力関係者とは無関係の、学際的な専門家を結集した独立調査組織である点、また情報公開法の利用やJCO刑事裁判の傍聴および裁判資料の閲覧にもとづく一次資料の調査にもとづいて事故原因論に新しい知見を提出している点、規制者(科学技術庁・原子力安全委員会)や発注者(動燃=核燃機構)とJCOとの関係の検討に注意を払っている点、原因分野以外でも周辺線量や緊急時対応、原子力政策などにつき幅広く独自の研究をまとめている点などである。
 JCOによる違法操業の歴史や旧科技庁、旧動燃(核燃料サイクル開発機構)の具体的かかわり、原子力政策との相互作用など、この刑事記録による最新の知見の報告が今回の報告会の主眼であるが、併せて事故による影響や緊急時対策の現状、地元の動きなどについても報告し、JCO臨界事故総合評価会議としての結論と提言を集約するものとする予定だ。
 ※JCO臨界事故総合評価会議の今までの活動については cnic.jp/jco/jcac/ に情報を掲載している。またその研究成果にもとづいて、すでに岩波ブックレット『臨界事故 隠されてきた深層』が出版されている。同書をも参照のうえ、ご参加いただきたくご案内さしあげる次第です。

JCO臨界事故総合評価会議報告会
04年9月25日(土)13:30~東京・江戸東京博物館(両国駅北側)
学習室

[資料代1000円]事前予約不要

報告:JCO臨界事故総合評価会議(伊東良徳[事故原因]・古川路明[核化学]・末田一秀[緊急時対策]・根本がん[地元の状況]・藤野聡[原子力政策])

問い合わせ:原子力資料情報室(CNIC)
TEL.03-5330-9520 FAX.03-5330-9530 URL: cnic.jp

報告書の構成

【第1部 刑事記録から事故原因を再考する】
【第2部 線量計算と核化学的課題】
【第3部 第2次生活影響調査(2002年)】
【第4部 緊急時対策の検証】
【第5部 原子力政策の現状と課題】
【第6部 結論と提言】

JCO臨界事故総合評価会議の報告の要点(主に原因分野)

 JCOの実態はもとより規制者、発注者のあり方についても具体的な解明が不可欠であるが、安全委・科技庁・動燃関係者によって構成された事故調による検討は不十分であった。前回2002年報告書への追加としては、この刑事記録の分析が主要なものであるが、周辺線量に関する論文や、前回オフサイトセンターについて論じた緊急時対策のセクションに、新たに消防マニュアルに関する検討も追加した。また安全規制や事故調査に関する政策提言を追加した。
 特に原因分野については、刑事記録をはじめとする情報収集の継続(ただし核燃料サイクル開発機構は事故に関する情報公開について積極的でなかった)によって以下のような事柄について具体的に検討することが可能になった。
・JCOと動燃との契約関係 ・転換試験棟の建設以前の住友金属鉱山の操業 ・事故現場である転換試験棟の改造安全審査の詳細な経緯と科技庁、安全委のかかわり ・その後事故へ至る溶液製造の実態とバケツ利用の本格化、混合均一化の変遷 ・事故調で否定されていた「あかつき丸」前後の発注の混乱の有無 ・「改善提案」など社内運動の実態 ・科技庁の運転管理専門官の巡視に関する記録から見る巡視の実態 ・90年代後半のJCOをとりまく環境の変化とスペシャルクルーの置かれた状況 など
 また規制行政(科技庁・安全委)、事業者JCO、発注者動燃など関係組織のあいだでその場しのぎと馴れ合いの果てに破綻を来たした事情にかんがみ、以下のような提言を行っている。
・臨界事故の調査のため必要な証拠・資料(転換試験棟自体やJCO・核燃機構の文書、規制や事故調査にかかわる行政文書を含む)の徹底的な保存と公開 ・断片化した視野でなく総合的な安全確保のための安全規制(安全審査、後続規制)や緊急時対策への再編 ・公正な事故調査と証拠保存の制度確立・プルトニウムを軸とする原子力政策の成立性の再検討 ・その後の東電事件や美浜事故の教訓も含めた原子力産業と原子力行政の実態の再チェック
 以上のような事柄をふくめ、詳細は9月25日の報告会において報告を行ないます。上記のとおり、岩波ブックレット『臨界事故 隠されてきた深層』をあらかじめご参照いただければ幸いです。