声明 浜岡原発運転差し止め訴訟不当判決に抗議する  ★抗告理由書UP!

声明 浜岡原発運転差し止め訴訟不当判決に抗議する

2007年10月26日
原子力資料情報室

 本日、静岡地方裁判所民事第1部は、原告住民の訴えを却下する判決を下した。裁判では原告側は耐震安全性の不備や原発震災の危険を具体的に主張したが、判決は安全評価や機器のチェックが国の指示にしたがって行なわれていれば、それでよしとする極めて表面的なものであり、不当判決と言わざるを得ない。
 さらに、浅い判断と言わざるを得ない点が多数見られる。
・判決直前に明らかになった1000年周期でM9クラスの地震が起きる可能性についても全く無視し、「十分に安全側にたった地震動予測がされているものと認められる」としている。
・中越沖地震では同時多発的に配管類の変形や建物の亀裂などが起きたが、判決は「同時多発的に配管類の変形や破断が発生する現実的な可能性があるとはいえない」と現実を無視する判断を下している。
・経年劣化についても、SCCがどこで発生するか分からないにもかかわらず、また、全てが点検できるわけでもないにも係らず、点検・検査を行い適宜交換しているから安全が確保されていると判断している、など被告側の主張を鵜呑みにした判断が行なわれているといわざるを得ない。

 5年余にわたって原告は、想定すべき地震の規模と起こり方、地震時の共通要因故障、施設の安全余裕性、進行している重要機器の老朽化の危険性、膨大な同時多発故障などをめぐって主張を展開してきた。これは判決が言うような「抽象的に想定可能なあらゆる事象」を主張してきたのではなく、具体的に危険性を指摘してきたのである。
 起こりうる事象に対して、起こった場合の甚大な被害を想定し、それを避けるという予防原則こそが、これからの人類社会の規範でなければならないと、私たちは考える。
 この判決によって、住民・市民の生命・健康を守ることは決してできないであろう。原告ならびに周辺住民も、これによって原発の安全性が示されたとはとうてい言えず、原発震災を招く判決と言わざるを得ない。

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