国内の原子炉圧力容器(原子炉容器)の中性子照射脆化データ

原子炉圧力容器(原子炉容器)は運転中に核燃料からでてくる中性子を浴びつづけるため,その材料(低合金鋼)が変質していくことが知られています.おおよその傾向としては,運転時間の増加とともに浴びる中性子の量が多くなると,それにともなって材料が硬くなるとともに脆くなります.これを中性子照射脆化と呼び,そのひとつの指標として脆性遷移温度があります.

原子炉の安全を知るうえで非常に大事なデータであるにもかかわらず,誰でも見ることができような状態では公開されておらず,試験の生データなどは一般に非公開です.

このため,私たちは国会議員を通じて政府の原子力規制当局である原子力安全・保安院に資料の請求をおこない,脆性遷移温度に関するデータを取得しています.脆性遷移温度,中性子照射量,試験時期などを原子炉ごとにまとめ公表してきており,最近のものでは「原子力資料情報室通信」の第359号(2004年5月1日発行)や「原子力市民年鑑2004」(七つ森書館,2007年7月25日発行),「老朽化する原発」(原発老朽化問題研究会著,原子力資料情報室発行,2005年3月31日発行)にデータを一覧表として所収しています.

下記の表はこれらのデータに,電力各社が運転30年を超える原発の老朽化対策(長期保全計画と言っている)をまとめた「高経年化技術評価書」やWEBで公開されている情報,経済産業省の「高経年化対策検討委員会」などの資料から読みとれる情報を追加して,2006年7月の時点でまとめ直したものです.

■■原子炉圧力容器(原子炉容器)の脆性遷移温度一覧表

■■参考URL

■日本原子力発電
監視試験片取出し結果
www.japc.co.jp/safety/maintenance/pdf/hozen03.pdf

■関西電力
脆性遷移温度
www.kepco.co.jp/knic/meeting/genshiryoku/cyuuseisi2_2.html

■総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会
高経年化対策検討委員会(第5回,2005年6月16日) 配付資料
資料5-1 主要経年劣化事象の性状とこれに対する高経年化対策について
www.meti.go.jp/committee/materials/downloadfiles/g50616b10j.pdf