六ヶ所:ガラス固化問題で原子力安全・保安院へ要望書を提出

六ヶ所:ガラス固化問題で原子力安全・保安院へ要望書を提出

原子力安全・保安院への要望書

アクティブ試験の過程でガラス固化技術の未熟さが露呈しました
ガラス固化工程のトラブル・実情に関する情報を公開してください
ガラス固化工程のトラブルが解決するまで、再処理作業を中止してください

原子力安全・保安院長 薦田 康久 様

2008年1月15日
六ヶ所再処理工場のアクティブ試験を憂慮する全国の市民

 六ヶ所再処理工場のアクティブ試験において、昨年(2007年)11月5日に開始されたガラス固化体の製造工程で、日本原燃の技術に重大な問題のあることが明らかになってきました。
同社によると、ガラス固化体製造を継続して行うために「必要な廃液を準備することを目的として」(12月25日社長会見)、第5ステップで予定していたBWR燃料のせん断が、第4ステップに繰り上げて実施されます。
 これに関して、昨年7月10日に開かれた第29回核燃料サイクル安全小委員会再処理ワーキンググループ(WG)の議事要旨には次のように書かれています。
「ガラス固化性能の確認の時期について質問があり、第4ステップ中に、まず事業者としての確認結果が得られた時点で報告をうけ、その結果を本WGに諮った上で、当院が使用前検査実施する予定の第5ステップに入ることとしている旨回答があった」。
この趣旨に照らして現状をみると、「第4ステップ中に」まだ「事業者としての確認結果が得られ」ていないために、上記第4ステップでの作業工程の変更が行われたものと理解できます。今後、事業者としての確認が得られた段階で貴院への報告がなされ、貴院はその結果をWGに諮った上で、第5ステップにおいて使用前検査を行う予定であると考えられます。

また上記の「確認」について、日本原燃は「2系統あるガラス固化工程のうちA系統で追加的なデータを取得中」(12月28日付電気新聞)と報道されています。ところが、昨年7月17日の第13回核燃料サイクル安全小委員会に日本原燃が提出した参考資料4では、第4ステップでA、B両系統の性能確認を行う、と明確に書かれています。商業運転では、固化ラインに支障が起これば再処理作業の停止に直結することから、第4ステップでの性能確認はA、B両系統とも行うのは当然のことです。それゆえ、日本原燃は予定どおりに、B系統についてもこれから第4ステップ内で性能確認を行うものと私たちは理解し、貴院も当然そのように指導されるものと考えています。

 ガラス固化溶融炉の現状については、温度が「これまでは必ずしも安定した状態とはいえない状態だった」(12月28日付電気新聞)と報道されています。また、12月28日の日本原燃発表「六ヶ所再処理工場の年末年始の作業について」では、「11月からアクティブ試験を実施しているガラス溶融炉については、溶融ガラスの粘性が高くなり、ガラスの流下に時間を要する状況であることから、12月27日から炉内にある溶融ガラスを抜き出す作業を実施しており、当該作業を継続して実施します」(12月28日付日本原燃ホームページTOPICS)と書かれています。

 ガラス固化の模擬廃液を用いたモックアップ試験や化学試験に成功したからといって、実廃液でもうまくいく保証はなかったわけです。実際、「溶融ガラスの粘性が高くなり」、「炉内にある溶融ガラスを抜き出す作業を実施」しなければならない状態は、東海再処理施設のガラス固化作業で困難をきたしてきた白金族問題が、なんら解決していないことを示しています。つまり、日本原燃のガラス固化技術は未熟であり、モックアップ試験からやり直さなければならない状態にあるとみなすべきです。
 現状のまま再処理作業を続ければ、超危険な高レベル濃縮廃液がさらに発生し、貯槽に溜まり続けることになります。貴院は日本原燃にたいし、ガラス固化をめぐる一連のトラブルが解決するまで、アクティブ試験における再処理作業を停止するよう指導すべきです。

また、ガラス固化作業については、新聞等で断片的に報じられるだけで、情報がほとんど公開されていません。たとえば、伝えられている「温度の不安定」の実態はどうなのか、11月には21本のガラス固化体をつくったと公表されていますが、そのために使った濃縮廃液は何立米でどれだけの不良品が発生したのかなどは、少なくとも公表されるべきです。政府の計画では、日本原燃が製造したガラス固化体は、青森県で「一時貯蔵」されたのち、日本のいずれかの地域で「最終処分」するとされています。したがって、ガラス固化技術については、当然、全国民に情報が公開されるべきです。

 以上の考えに立ち、次の点を要望します。なお、この要望書は、核燃料サイクル安全小委員会および同再処理WGの委員の方々全員に配布してくださるよう、よろしくお願いします。

要 望 事 項

1.日本原燃がアクティブ試験第4ステップで実施しているガラス固化工程のトラブル・実情について、実態をあるがままに一般に公開すること。

2.ガラス固化工程のトラブルが解決するまで、アクティブ試験の再処理作業を直ちに止めるよう、日本原燃を指導すること。

六ヶ所再処理工場のアクティブ試験を憂慮する全国の市民(140団体)

■呼びかけ団体(14団体)
核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団/再処理工場について勉強する農業者の会/花とハーブの里/PEACE LAND/三陸の海を放射能から守る岩手の会/グリーンピース・ジャパン/原子力資料情報室/原水爆禁止日本国民会議/ストップ・ザ・もんじゅ東京/日本消費者連盟/ふぇみん婦人民主クラブ/福島老朽原発を考える会/グリーン・アクション/美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会

◆連絡団体
グリーン・アクション
〒606-8203 京都市左京区田中関田町22-75-103
TEL:075-701-7223; FAX:075-702-1952
グリーンピース・ジャパン
  〒163-0802 東京都新宿区西新宿8-13-11 NFビル2階
TEL:03-5339-9800; FAX:03-5339-9817
原子力資料情報室
  〒162-0065 東京都新宿区住吉町8-5曙橋コーポ2階B
   TEL:03-3357-3800; FAX:03-3357-3801
福島老朽原発を考える会/ストップ・ザ・もんじゅ東京
〒162-0825 東京都新宿区神楽坂2-19銀鈴会館405号 共同事務所AIR気付
   TEL:03-5225-7213; FAX:03-5225-7214
 花とハーブの里
〒039-3215 青森県上北郡六ヶ所村倉内笹崎1521 菊川方
TEL:0175-74-2522; FAX:0175-74-2522 
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会
   〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満4-3-3 星光ビル3F
   TEL:06-6367-6580; FAX:06-6367-6581

■賛同団体(126団体)
<青森>青森県保険医協会/核燃を考える住民の会/核燃止めよう浪岡会/核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会/「止めよう!再処理」市民ネット/弘前脱原発・反核燃の会/放射能から子供を守る母親の会/核の「中間貯蔵施設」はいらない!下北の会/ネットワークみどり/核燃いらない十和田ネットワーク/下北半島の核施設を考える会/『在』出版会・あおもり/核の再処理はイラナイ・八戸の会<岩手>豊かな三陸の海を守る会/放射能から気仙の海辺を守る鱈の会/イーハトーブ雫石を守る会/こどもたちの教育と未来を考える会/子どもと海と空の会<宮城>三陸・宮城の海を放射能から守る仙台の会(わかめの会)/地球とともに/みやぎ脱原発・風の会<福島>脱原発福島ネットワーク<新潟>みどりと反プルサーマル新潟県連絡会/脱原発をめざす新潟市民フォーラム<茨城>反原子力茨城共同行動<埼玉>平和懇談会いるま/平和懇談会はんのう/グリーンアクションさいたま<東京>サーフライダー・ファウンデーション・ジャパン/ピースボート/原発を考える品川の女たち/とめよう原発せたがやネットワーク/ナマケモノ倶楽部/チェルノブイリ子ども基金/東京電力と共に脱原発をめざす会/indy media RIZINE/KITの女たちの会(戦争への道を許さない北・板橋・豊島の女たちの会)/ストップ再処理工場・意見広告の会/いろりばた会議/都労連交流会/核開発に反対する会/原発事故と日本核武装批判研究会/ひきこもり九条の会/原発・核燃とめようかい/「終焉に向かう原子力」実行委員会/たんぽぽ舎/浜岡原発とめよう関東ネットワーク/9・30の会/ももんがともだちネット/大地とつながる母の会/PKO法「雑則」を広める会/六ヶ所村・再処理いらない!消費者の会/再処理工場を知る会/今とこれからを考える一滴の会/原子力行政を問い直す宗教者の会/日本キリスト教協議会(NCC)平和核問題委員会/脱原発東電株主運動<千葉>核燃やめておいしいごはん/原発いらない!ちば<神奈川>食政策センタービジョン21/プルトニウムフリーコミュニケーション神奈川/下北半島と神奈川を結ぶプロジェクト/大地に麦を実らす会<長野>国際井戸端連絡会議/100人一歩の会/ドキュメンタリー映画を観る会<静岡>浜岡原発を考える静岡ネットワーク<愛知>核のごみキャンペーン・中部/暮らしの環境情報室/反原発ネットワーク豊橋/食と環境の未来ネット/中部よつ葉会/PLUTY<岐阜>徳山ダム建設中止を求める会/平和・人権・環境を守る岐阜県市民の声/放射能のゴミはいらない!市民ネット・岐阜/くらし・しぜん・いのち 岐阜県民ネットワーク<富山>北陸電力と共に脱原発をすすめる株主の会<石川>変えよう金沢ネットワ?ク/能登原発差止訴訟原告団/原発震災を案じる石川県民<福井>森と暮らすどんぐり倶楽部<滋賀>原発を知る滋賀連絡会<京都>アジェンダ・プロジェクト<大阪>ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン/平和省プロジェクト大阪/平和の井戸端会議/ストップ・ザ・もんじゅ/阪南中央病院原発見張り番/大阪大学附属病院看護師労働組合/環境を考える会/みみずの会/くらしを見つめるひととき/脱原発へ!関電株主行動の会<和歌山>脱原発わかやま/原発がこわい女たちの会<兵庫>こうべ消費者クラブ/さよならウラン連絡会<鳥取>ウラン残土市民会議/鳥取県西部原発反対の会/米子市政研究会<岡山>ハンドインハンド岡山<広島>プルトニウム・アクション・ヒロシマ/ボイス・オブ・ヒロシマ<愛媛>原発いらない虹の会/原発さよなら四国ネットワーク/原発さよならえひめネットワーク/原発なしで暮らしたい松山の会/愛媛の活断層と防災を学ぶ会/放射能を憂慮する市民の会<高知>原発さよならネットワーク高知<福岡>たんぽぽとりで/チェルノブイリ友の会/ワールドエコロジーネットワーク/株式会社ウィンドファーム/株式会社九州産直クラブ/みどり福岡/かもねぎ連/北九州から脱原発社会を考える会<佐賀>からつ環境ネットワーク/唐津の海を守ろう市民の会/R?DANネットワークさがんもん<長崎>原発なしで暮らしたい・長崎の会<鹿児島>川内つゆくさ会/川内原発建設反対連絡協議会/自然の灯をともし原発を葬る会・かごしま