原子力資料情報室声明 いまこそ、原発の廃絶を - 福島第一原発過酷事故から4年目を迎えて

 特定非営利活動法人原子力資料情報室は、福島第一原発事故から4年目をむかえた本日、以下の声明を発表いたしました。

 東日本大震災と福島第一原発事故で亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、今なお厳しい生活をおくられている被災者のみなさまに心からお見舞いを申し上げます。

 


 

いまこそ、原発の廃絶を - 福島第一原発過酷事故から4年目を迎えて

 

2015年3月11日

特定非営利活動法人 原子力資料情報室

 

 4年前の3月11日に発せられた原子力緊急事態宣言が、いまもって解除されないままに、決して忘れることのできない日を私たちは迎えた。

 福島第一原発事故によって、広範な周辺地域住民一人ひとりの生活は大本から変えさせられた。放出された放射性物質による汚染は、とどまるところがない。人々は暮らしの場と有形無形の財産を奪われ、安心して生活する基本的な権利を奪われた。事故から4年を経た福島県では、いまなお、約12万人もの避難者が存在し、原発事故関連死者は1,884人にも上る。

 すべての人には、平和で安心して暮らすことが、なによりも優先される。これは社会の根本的な原理であり約束である。日本国憲法には、その22条で居住、移転及び職業選択の自由を、25条で生存権とそれにたいする国の義務を、29条で財産権を保証しているが、原発事故によって被災者たちはそれらの権利を侵害された状態にある。また憲法前文は、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有すること」を確認している。しかし、ひとたび過酷事故が起きると、こうした平和的生存権が侵害されることは、日本の現状から、明らかになった。

 国の原子力規制委員会も明言するように、今後、日本において原発事故の発生は不可避である。それを認めるならば、原子力発電は憲法に違反する状態がうみだされることを是認することになる。とうてい容認できることではない。

 さらに、われわれは自然環境が人間だけの占有物ではなく、環境におけるすべての存在との共有物であること、かつ、現世代の占有物でもなく、将来世代との共有物でもあることを、つよく確認しなければならない。

 原子力利用に起因する放射性物質の放出は広大な環境を汚染する。数多くの核実験、チェルノブイリなどの原発事故によって理解されてきた事実だが、私たちは福島第一原発事故によって再度、確認したのだ。放出された放射性物質は、ひとの寿命を超える長い期間にわたって環境を汚染し続け、生命系を傷つけ続ける。

 核を利用することは、一切禁止しなければならない。

 福島第一原発事故から4年目を迎えて、私たちは永久に原発を廃止する選択に踏み切るべきだと考える。

以上