新たな需要のニーズに、分散型の中小規模自然エネルギーこそ特性が合致する
西尾 漠(副編集長)
第7次エネルギー基本計画で劇的に変化したのは、関連資料として付された「2040年度におけるエネルギー需給の見通し」だ。第6次計画に付されていた「2030年度におけるエネルギー需給の見通し」とはターゲット年度が10年違うとはいえ、電力需要は減少することが示されていたのが一転して増大するとされた。第6次計画の際は、2019年度の需要実績9,273億kWhが30年度には8,640億kWhに減少すると見込んでいた。それが第7次計画に際しては、22年度の0.9兆kWhが 40年度に0.9~1.1兆kWhに上昇するとされたのだ。
第7次計画付属「2040年度におけるエネルギー需給の見通し」の元となっているのは、電力広域的運営推進機関(OCCTO)の「将来の電力需給シナリオに関する検討会」の検討結果である。そのOCCTOが毎年まとめている「全国及び供給区域ごとの需要想定」では、2023年度頃までは大きな減少となっているのが、そこから増加に転じる。しかしそれでも2030年以降に伸びは鈍化している。
2040年度に大幅増となる根拠は何か。第7次計画本体では、「DXやGXの進展による電力需要増加が見込まれる状況」が強調されている。第6次計画ではAIなどの活用により「エネルギー需給構造が更に効率的・生産的なものになっていくことも期待される」ことが強調され、電力需要増には軽く一言触れるだけだった。
2024年3月5日の「将来の電力需給シナリオに関する検討会」に電力中央研究所が示した各機関試算結果のまとめでは、データセンター(DC)と基地局合計の2040年度電力需要は470~1170万kWhと大きな幅がある。そもそも電力需要については増える要素と減る要素が複雑に絡み合っている。DC等に限らず、どの要素にも想定に大きな幅を持つことは避けられない。もちろんそれなりの想定をしているのだが、不確実性は否定できない。「DXやGXの進展」も、プラスにもマイナスにも働くし、AI規制が強まったりすることもあって進展しないかもしれない。そんなもので危機を煽るのは不誠実というものだ。
『週刊エネルギーと環境』2月27日号は言う。「今後は大規模と小規模AIへのすみ分けが進むと見る関係者も多い。このすみ分けにより、DCの建設自体が減り、全体としてDC需要が抑制されると見られている。一方で、大規模DCでの省エネ技術も進展していく。サーバーに組み込まれるチップ自体も今後さらに高性能・低消費電力型が開発されていくと見られており、その電力効率は40年までに最大6万倍に上昇する可能性があるとの指摘も出ている」。三菱総合研究所が2024年8月に発表した「生成AIの普及が与える日本の電力需要への影響」が、そうした見方をまとめ、提言している。DC電力需要の増加はコスト増となって経営を圧迫するとなれば、いっそうの効率向上が目指されることになるだろう。
電力需要は増えないとは、誰も言えない。しかし、増えるとしても、どんな進みかたでどれほどの増え方になるか。何倍にも膨れ上がるようなことはないだろう。「2040年度におけるエネルギー需給の見通し」では40年度に22年度実績の0~2割増しである。危機煽りに振り回されずに将来を見据えた対応が求められている。 投資が過大となる可能性も大きい。第7次計画は「新たな需要のニーズに、原子力という電源の持つ特性は合致する」というが、それこそ大きな間違いだ。新設にせよリプレースにせよ、原発の建設にはこれまで以上に長い年数が必要になる。必要とされる時に間に合わないか、運転開始時には持て余しものになっているか。仮に運転に入っても、事故や地震などでいつ止まるかわからない。
分散型の中小規模自然エネルギーこそ特性が合致する。
(2025年4月号掲載記事)
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