原発の安全設計における基礎になる基準地震動に関して、浜岡原発でデータねつ造が行われていたことが公表されたのは、1月5日の中部電力の会見であった。昨年2月に内部告発が原子力規制委員会に寄せられ、原子力規制庁が5月頃から中部電力と面談を重ねて、事実関係の確認を進めて調査を指示したとされる。中部電力は昨年12月18日に規制委に不正行為を確認したと報告し、翌日に浜岡原発の新規制基準適合審査は中断された。柏崎刈羽原発再稼働にGOサインが出てから公表されたことになる。
規制委員会は、1月14日に保安規定の遵守状況等を確認する原子力規制検査を行うことを決め、立入検査等を進めてきた。その結果は、2月25日、3月18日、5月27日にも規制委に報告されているが、7月1日の報告では規制庁が検査を始めた昨年5月以降もデータの組換え作業が行われていたことが明らかされた。これはデータねつ造を隠蔽する意図によるものと考えられ、より悪質なものである。中部電力㈱には、原発を運転する資格はなく、原子炉等規制法第43条の3の6に定める許可条件「重大事故の発生及び拡大の防止に必要な措置を実施するために必要な技術的能力その他の発電用原子炉の運転を適確に遂行するに足りる技術的能力」を有していないと断じざるを得ない。少なくとも保安規定に明確に違反しており、許可の取り消しを定めた法第43条の3の20第2項第5号に該当する。
規制委は、今後も検査を継続し、経営層の関与など全容の解明を進め、夏ごろに出されるとされている中部電力が設置した第3者委員会の報告などを踏まえて処分を出す方針だ。浜岡4号炉の新規制基準適合に関する変更許可申請を不許可にするにとどまらず、中部電力㈱浜岡原発に出されている原子炉設置許可(法第43条の3の5第1項)を取り消すべきである。
また、規制委は2023年9月に基準地震動を「おおむね妥当」と判断し、不正を見抜くことが出来なかった。このことは規制委の能力と信頼の根幹を揺るがすものだ。虚偽申請に罰則を適用するとか、基準地震動策定データの保存を事業者に求めるとかの弥縫策を打ち出しているが、審査体制の抜本的な見直しを行うべきである。現在提出を求めていない1次データの提出を求め、全数ではなくピックアップして安全解析(クロスチェック)を行えば、審査の実効性は改善する。「規制の虜」であった旧原子力安全・保安院でさえ原子力安全基盤機構にクロスチェックをさせていた。
参議院も7月8日、本会議で内閣に対して「再発防止に万全を期すべき」とする警告決議を可決。ほかの原発で同様のデータ不正が行われないよう審査プロセスの改善を早急に検討することを求めた。規制委のあり方が問われている。(編集部)