MOX燃料のコストはおいくら?

プルトニウムとウランを混ぜて作るMOX燃料。MOX燃料はプルトニウムを使うことでウラン資源を10%削減できるといいます。でも、いろいろな加工をするので、高くなるはずですが、一体いくらなんでしょうか。試算してみました。

1.貿易統計からの試算

かつて日本は使用済み燃料を海外で再処理していました。そこで取り出されたプルトニウムがMOX燃料になって帰ってきています。貿易統計には輸入品目ごとに輸入元、輸入量と輸入価格が載っているので、これを調べると、輸入したMOX燃料の価格がわかります(表)。たとえば、2017年にフランスから舞鶴税関に10,576kgのMOX燃料が着きました。価格は160.9億円、1kg当り152万円です。2013年には米国から40,529kgのウラン燃料が到着しています。価格は61.7億円、1kg当り15.2万円です。為替の問題もありますが、ちょうど10倍になります。1999年からの推移をみると、輸入MOX燃料は輸入ウラン燃料の約9倍だったことがわかります。

2.使用済燃料再処理機構の単価を使った試算

使用済み燃料の再処理を実施するために設立された認可法人使用済燃料再処理機構は毎年、発生する使用済み燃料当りの拠出金単価を発表しています。再処理の単価は584円/gで一律ですが、MOX加工は89~103円/gと各社ばらついています。この値を用いて試算してみました。

拠出金単価は再処理単価584円/g、MOX加工単価は間をとって96円/g、合計で680円/gとします。一方、現在の経産省の説明では、使用済み燃料を800トン再処理した場合6.6トンのプルトニウムが分離さます。使用済み燃料のプルトニウム含有率は0.8%ということになります。

原子炉の形によっても変わりますが、MOX燃料のプルトニウム含有率は5~9%程度となっています。1kgのMOX燃料には50~90gのプルトニウムが含まれているということです。一方、使用済み燃料のプルトニウム含有率が0.8%の場合、1kgの使用済み燃料燃料に含まれるプルトニウムは8gです。MOX燃料のプルトニウム含有率を7%と置いた場合、MOX燃料1kgに必要なプルトニウムを取り出すには、使用済み燃料8.75kgが必要となります。これを前提にすると、拠出金単価680円/g*8.75=5,950円/g、トン当たり59.5億円。ウラン燃料1トンを国が試算している約2~3億円とすると、ウラン燃料比で約20~30倍です、2017年のウラン燃料輸入価格と比べると約40倍になります。

3.核燃料税を使った試算

原発が立地する地方自治体は自治体の条例で法定外普通税として、核燃料税を原子力事業者に課税しています。課税は多くの場合、価額割と出力割の2つに分かれています。価額割は新しく炉心に装荷された核燃料の価格に税率をかけたもの、出力割は原子炉の出力に税率をかけたものとなっています。税率と税収額、新燃料の装荷体数がわかれば、装荷した燃料の価格が計算できることになります。

これを使って北海道電力のウラン燃料の価格を計算したところ、年によってばらつきがありますが、2003年~2011年の価格を平均するとトン当たり1.19億円であることがわかりました。

国内再処理で作られるMOX燃料の価格をトン当たり59.5億円とすると、ウラン燃料比で約50になります。

燃料1トン当たりの価格

・輸入MOX:税関統計より(2017年舞鶴税関)
・国産MOX:拠出金単価680円/g(再処理単価584円/g、MOX加工単価は96円/g)と想定。使用済み燃料のプルトニウム含有率は0.8%と想定。MOX燃料のプルトニウム含有率は7%、MOX燃料1kgに必要なプルトニウムを取り出すには、使用済み燃料8.75kgが必要となる想定で計算
・輸入ウラン燃料:税関統計より(2010~2016年平均値)
・北電ウラン燃料:2003~2011年の北海道核燃料税収入額からの推定値
・政府資料:こちら、こちら