コラム「風車」2020年10月

高レベル放射性廃棄物は地層処分が当たり前のように言われている。しかしそれは、かつては否定されていた方法だった。

原子力委員会の廃棄物処理専門部会が1962年4月にまとめた中間報告書では「国土が狭あいで、地震のあるわが国では最も可能性のある最終処分方式としては深海投棄であろう」とされていたのだ。ところが、その高レベル放射性廃棄物の深海投棄が1975年8月に発効した「廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約」(ロンドン条約)によって禁止されてしまった。

「日本でも慌てて専門部会が招集されて」と、動燃事業団、核燃料サイクル開発機構で一貫して高レベル放射性廃棄物の地層処分研究に従事してきた増田純男原子力安全研究協会参与は言う(坪谷隆夫編『オーラル・ヒストリー~地層処分研究開発~』)。76年10月に原子力委員会が示した方針は、「当面地層処分に重点を置き」と変わる。それでもなお「我が国の社会的、地理的条件に見合った処分方法の調査研究を早急に進め」とも書かれていた。

残念ながら、何らの具体的な検討もなく、地層処分が唯一の方針となっていく。今更ながら地層処分への道筋をたどってみれば、およそ信頼に足らないことは明白だろう。興味のある方は『はんげんぱつ新聞』ホームページで「今更ながら地層処分への道筋を問う」をお読みください。