コラム「風車」2021年4月

 原発の廃炉が進む中、蒸気発生器や給水加熱器などの大型金属廃棄物を海外に「輸出」するための輸出承認基準案なるものが、3月22日に開かれた総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会の原子力小委員会で示された。

遡ればというほど昔ではないが、昨年7月2日の使用済燃料対策推進協議会で経済産業大臣が「事業者に取り組んでいただきたい事項」の1つに「大型金属の海外処理」を挙げ、電気事業連合会会長が必要な対応をとると答えていた。そのころから本格検討がはじまったらしい。国内では放射性廃棄物として扱われているが海外ではリサイクルビジネスが確立しているので、リサイクル品と銘打てば放射性廃棄物の国内処分の原則から免れると、承認基準を見直そうというわけだ。

既に人形峠で発生したウラン残土を輸出した実績があり、さらにイオン交換樹脂などの輸出が企まれている(2月号3面)。使用済み燃料だって「リサイクル燃料」なのだそうだから、従来の再処理委託でなく、輸出すればよいと言い出したところで不思議はないのかも。

そういえば、遡れば2003年11月に当時の小泉純一郎首相がプーチン大統領の密使と会い、ロシアに使用済み燃料を引き取ってもらう提案をしたなんていう報道もあったっけ。