「風車」2016年10月号
10月3日、使用済燃料再処理機構とやらが発足する。再処理の新たな事業主体だというが、自ら再処理を行なうわけではない。電力会社に再処理等の費用を拠出させ、再処理そのものは従来通り日本原燃にいたくするのだとか。何のために屋上屋を重ねるのか、どうもよくわからない。
これまでの積立金や引当金では、確実に再処理に使われる保証がないというなら、それを拠出金に変えたらいいだけではないか。機構にかかる費用が、むだなだけだろう。責任の所在は、きわめてあいまいになる。電力会社各社ごとの責任の垣根が取り外され、機構、機構の人事や各種計画を認可する経産大臣、実務を担う日本原燃それぞれの責任が見定められない。
再処理の義務化は、機構を産んだ再処理等拠出金法制定時の附帯決議とも矛盾する。しかし、それによって電力会社を縛るというより、電力会社の責任逃れ・国の肩代わりこそが、電力会社の原発離れを食い止める経済産業省の狙いかもしれない。制度づくりに当たった総合資源エネルギー調査会の原子力事業環境整備検討専門ワーキンググループの会合で、原子力ムラの委員たちは「拠出金を出した、はい、さようなら」となることを懸念していた。
原子力規制委員会は、日本原燃を規制するが、機構の規制はできないと説明されている。何ともおかしな機構である。