「風車」2016年4月号
日本原子力学会の『学会誌』が、2月号、3月号と「どうする? もんじゅ」の座談会を掲載している。3月号のほうは、『週刊新潮』1月28日号の座談会「御用学者と呼ばれて」第12弾と重なる顔ぶれで、中身も似たり寄ったり。『週刊新潮』と『学会誌』が同じレベルだと自ら暴露してしまったのはご愛嬌だが、それにしても2ヵ月連続とは、「もんじゅ」廃炉の危機感がよほど強いのだろうか。
「もんじゅ」を止めると「中国製の「FBR[高速増殖炉]を買わざるをえない時代が必ずきます。100%断言できます」(岡本孝司東京大学教授)なんて、冗談にしても出来が悪すぎる。「国民がこれに夢を持つことができれば、1兆円や10兆円は安いものなんです」(同)といわれてもねえ。
面白いのは、この座談会、彼らにとって夢のない話が実は満載なのだ。いわく「エネルギー基本計画では……“実用化はしない”とさえ解釈し得ます」(澤田哲生東京工業大学助教)、文科省「もんじゅ検討会」を取材して「オールジャパンで支えようという気持ちは全くないということがこの会合でよくわかりました」(滝順一日経新聞論説委員)、「電力業界も経済産業省も、本当は『もんじゅ』をやりたくない」(岡本教授)……。
規制委員会の悪口でおだをあげているあたり、むしろ本来持つべき危機感が薄いようだ。