コラム「風車」2015年11月

「風車」2015年11月号

原子力規制委員会は11月4日、もんじゅを安全に運転する能力が日本原子力研究開発機構にはないとして、監督官庁の文部科学省に運営主体の見直しを求める方針を決定した。規制委が「伝家の宝刀」を抜いたのだという。

「厳しすぎる」と規制委を非難し続けてきた一部メディアも、今回は当然のことと受け止めている。5日付の電気新聞「デスク手帳」は「むしろ遅かったとの声多く」と電力業界内の反応を伝えていた。原子力機構では電力業界に支援を仰ぐ協議に着手したというが、同日付読売新聞は「もんじゅは利潤を生まない施設。企業にとっては『お荷物』でしかなく、株主の賛同が得られるとも思えない」と文科省幹部の言葉を紹介している。

運営主体の見直しは難しく、実質的な廃炉勧告だ。なのに、なぜ設置許可取り消しではないのか。許可は原子力機構に与えられている。その機構が原子炉等規制法に定められた「技術的能力」という設置許可基準を満たさず、運営主体の資格がないのだから、許可取り消しが筋だろう。

規制法を読み直して驚いた。許可取り消しの条項には該当しないのだ。いったん許可を出したら、基準に外れ「とても安心して任せるわけにはいかない」(田中俊一規制委員長)とわかっても取り消すことができない。これって法自体が欠陥なんじゃない?