コラム「風車」2014年5月

「風車」2014年5月号

4月11日、新しいエネルギー基本計画が、やっと閣議決定された。1月号の本欄で見たように、めちゃくちゃなつくられ方だったから、原発推進の中身は予想通りで、意外性はまったくない。

いまさら批判する価値もない代物だが、推進が露骨すぎて、与党内をまとめるのにすら時間がかかったようだ。そんな基本計画とはいえ、原子力委員会が原子力政策大綱をつくらなくなったことから、唯一の原子力政策となってしまった。何ともお粗末な政策である。よくも悪くも力はなく、脱原発に向かう流れは変えようもない。核燃料サイクルの破綻をとりつくろうことも不可能だ。

にもかかわらず、この情けない計画が、マスメディアには「現実路線」と映るらしい。不思議である。計画に疑問を投げかけている紙面までが、やはり「現実的」と書いている。現状を大きく変えないこと即ち現実的だという思い込みがあるのではないだろうか。

原発は停止リスクが大きくベースロード電源としての安定性がないこと、経済的でもないことは明々白々となった。福島の現実を直視するなら、脱原発に代わる「現実路線」はない。核燃料サイクルの現実が計画を裏切っていることも、説明の要はないだろう。

再稼働を阻止し、「原発ゼロ」の現実で虚構の計画を笑い飛ばすしかない。