コラム「風車」2013年11月

「風車」2013年11月号

特定秘密保護法案が10月25日、国会に上程された。特定秘密の対象には、防衛や外交に関する事項と並んでテロ防止に関する事項がある。核セキュリティに関しては既に保護規定があるが、さらに拡大、罰則強化されるのだろうか。

10月24日に開かれた核物質管理学会日本支部の年次大会に招かれて講演した原子力規制委員会の大島賢三委員は同法案と核セキュリティは「通じるところがある」と表現した。法案では、特定秘密を扱うことが見込まれる者の「適正評価」が行なわれるとしている。本人、家族、同居人の国籍、住所、犯罪及び懲戒歴、薬物の濫用や飲酒、精神疾患、経済的な状況などが調べられる。これは、規制委員会が導入しようとしている原子力施設従業員(下請けを含む)の「信頼性確認制度」と、情報の所有者を別にすれば、そっくり同じものだ。

規制委員会の検討会では「日本の現状というのは、防衛とか治安等を含めた分野横断的な信頼性確認制度がないという、非常に残念な形になっておるわけですから、これができて、その一環で原子力の関係ができれば、これは非常にいい話」とも論じられていた。特定秘密保護法と原子力の制度が揃えば「まさに理想的な形」となる。

原発を再稼働させるということは、すなわちこうした制度を導入することに他ならない。