コラム「風車」2013年7月

2013年7月号

6月27日、関西電力高浜原発にMOX燃料が運び込まれた。いまなぜ、なのだろうか。プルサーマルを本気でやりたがっているならともかく、そんなはずもない。早く再稼働をしたいなら、プルサーマルなんて余計なことだ。

考えられる理由は、ただ一つ。六ヶ所再処理工場を動かすためである。アメリカ政府高官らは異口同音に「MOX燃料を使用する原発が存在せず、その見通しもない中で、六ヶ所再処理工場を稼働することは、米国にとって大きな懸念となりうる」と指摘している。アメリカは今、韓国との原子力協力協定の改訂問題で、日本のように再処理を行なえるようにしたいという韓国を押さえ込むのに四苦八苦しているのだ。

日米原子力協力協定が期限切れを迎えて再交渉となるのは、5年後だ。日米の再交渉で、六ヶ所再処理工場の稼働にブレーキがかけられるかもしれない。同工場を動かすためには、福島原発事故の後の日本でもプルサーマルが行なえるというデモンストレーションが必要となった。遅れが必至とはいえ、10月に計画されている同工場の竣工前にMOX燃料の搬入が実施された所以である。

しかし仮に六ヶ所工場が稼働したら、余剰プルトニウムが国内にも増え、問題をより深刻にするばかりだ。再処理もプルサーマルも、やめる以外に道はない。