コラム「風車」2013年6月

「風車」2013年6月号

今夏の電力供給予備率が「安定供給の目安となる3%を上回った」との記事を目にして、意外に思った。これまで「8~10%が必要」と言われていたのではないか。

九州電力のホームページに、答を見つけた。安定供給に必要な予備率が8~10%、5~8%でも、同社最大の70万キロワット級電源が計画外停止しても若干の余力がある。3~5%だと、最大電源が停止すると供給力不足になる恐れがあるが、より小規模な電源の停止なら大丈夫、3%未満では小規模電源の停止や電気使用量の急増の場合に供給力不足となる恐れがある――という。

ちょっと待った、九州電力最大の電源は70万キロワットの松浦火力、苓北火力ではなく、118万キロワットの玄海原発3、4号だろう。川内1、2号だって89万キロワットだ。停止中だから、計画外停止はありえないということか。再稼動したら、5~8%の予備率では足らず、8~10%以上が必要となる。つまり8~10%が安定供給に必要だというのは、原発が動いていると安定供給が難しいことを示している。3%の予備率でよくなったのは、原発が止まっているお蔭なのだ。

1基当たりの出力が大きい上に、複数基同時停止の可能性も高く、かつ危険回避のためにすぐ停止するよう設定されている原発こそ、安定供給の敵である。