コラム「風車」2012年12月

「風車」2012年12月号

本紙がお手元に届く時には、総選挙の結果が出ている。脱原発派の議員が多数を占めていることを、切に望むものだ。原発推進の政権が生まれたら、これまで以上に推進がしやすい仕組みがつくられてしまっているからである。

原子力規制行政の独立が、形の上ではできた。しかしその際、ダブルチェックもなくなって、原子力規制委員会‐原子力規制庁に許認可が一元化された。いまのところ世論に押されて許認可のハードルは高くされそうだが、それでも一つだけとなったのである。推進行政のハードルに至っては、どうやら無となる雲行きだ。

原子力委員会の「廃止・改編をふくめた抜本的見直し」が、エネルギー・環境会議に設けられた有識者会議で進められている。既に原子力政策の決定権は、エネルギー・環境会議に奪われた。実質的には経済産業省や文部科学省の思いのままだ。許認可のダブルチェックでは、原子力委員会によるいわゆる「平和利用の担保」だけは残っているものの、原子力委員会が存続して担うにせよ、別の組織が担うにせよ、形式的な諮問に答えるのみでは(そんなものにしてしまった責任は、原子力委員会にある)屁にもならない。

脱原発への具体的な政策づくりと、原発廃絶後も続く後始末の安全規制をチェックする新たなハードルが、どうしても必要だ。