コラム「風車」2012年10月

「風車」2012年10月号

残念である。青森が意地を見せてくれると期待したのに、裏切られた。

核燃料サイクル政策が変更されるようなら、六ヶ所再処理工場に貯蔵されている使用済み燃料を各原発に送り返す、英仏からの返還廃棄物の搬入も認めない、各原発からの低レベル廃棄物の搬入も許さない――と、青森県や六ヶ所村は息巻いていた。むつ市も使用済み燃料貯蔵施設への受け入れを断わることもあるとした。

原子力委員会もエネルギー・環境会議も、使用済み燃料を再処理せず直接処分する道をひらき、全量再処理からの転換ありとしたのだから、核燃料サイクル政策は明らかに変更されている。返送や搬入拒否が宣言され、実施されてしかるべきだった。

ところが、県も村も市も、六ヶ所再処理工場の運転入りが認められただけで、いともあっさりと矛を収めてしまった。青森県の三村申吾知事といえば、ただひたすら「政府は約束を守れ」と、そればかりを求めてきたお方である。ならば、ご自身も約束を守ってほしかった。

電力会社の側は「金づるを手放すなんてできっこない。返送したら税収もなくなる」と高をくくっていた。露骨に青森を見下していた連中に一泡吹かせるところを見たかったなあ。いや、今からでも決して遅くはない。政府の姿勢はますますふらふらしているではないか。ここはやはり初志を貫くべきだろう。がんばれ、青森。