「風車」2012年3月号
原発の寿命について国会でどう答弁されていたか、議事録を検索してみた。東海原発は当初15年とされていたらしい。経理上の耐用年数かとも考えたが、実績を積み研究も加わって20年になったというから、実寿命のようだ。
と思ったら後になって、経理上は15年だが、使う気になれば15年よりはもう少し長く使えるという答弁もあった。どうも初期には経理上の寿命も実寿命もはっきり区別がなかったのか。要するに手探りだったのだろう。東海原発はけっきょく32年弱の寿命だった。軽水炉時代になると25年~30年、さらに30年~40年と延ばされてきて、60年までということになる。
かつて30年の寿命とされたときの安全審査の資料を見ると、主要な機器は40年保つとした上で、余裕を考慮してとある。40年、60年と言う時、余裕はあるのだろうか。国会に上程された原子力組織制度改革法案は、40年を寿命とし、さらに20年を超えない限度内で延長を認めるという。しかも延長の手続きについて、3年間の猶予期間がある。
猶予期間中に40年を超える原発のみならず、既に超過している原発までもが、その間、無審査で動かせることになるのだ。むしろ40年超の原発は、施行と同時に廃炉にすると法案に明記でもすれば、政府も少しは信用されるのに。