コラム「風車」2018年5月

トルコ初の原発であるアックユ原発1号機が4月3日、本格着工した。120万kWのロシア製加圧水型炉×4基の計画である。

原発分野では世界初となるBOO(建設、所有、運転)方式が採用され、機器を提供するロスアトム社がつくった「アックユ原子力発電会社」が、建設、運転、廃止措置、使用済み燃料や放射性廃棄物の管理に責任を負い、売電収入で経費を回収するという。実にリスクたっぷりの方式である。株の半数近くをトルコの3企業にという話は、今年になって消えた。

そのBOO方式は、第二の原発であるシノップ原発にも採用される。三菱重工と伊藤忠、仏エンジー、トルコ発電会社等がプロジェクト会社を設立し、三菱重工と仏フラマトムの110万kW加圧水型炉ATMEA1×4基の建設が計画されたが、こちらも伊藤忠が3月末で手を引き、三菱重工も決断を迫られている。建設費の見積りがどんどん膨らみ、後始末の中身も費用も、どこまで責任を持つのかを含めて不透明だ。利益を得られる保証はゼロ。しかも、機器を輸出するのでなくBOOに責任を持つということは、原子力損害賠償で免責されず、賠償責任を負うことになる。リスクは限りなく大きい。

日・トルコ原子力協力協定をまとめた「首相案件」だからと忖度している場合じゃないよね。