コラム「風車」2019年8月

福島第二原発の廃止が、ようやく決まった。廃止は、まだ続くだろう。歓迎すべき事態だが、脱原発の運動にも重い現実を突きつける厳しい事態でもある。

廃止された原発は、早急に解体作業に入るのが地元住民の意に沿うことなのか、労働者被曝を少しでも小さくするために解体は避けるべきなのか。いずれにせよ、使用済み燃料プール(ピット)から燃料は取り出さなくてはならないが、どこに持っていくのか、持っていけるのか。再処理工場に向けた搬出に抗議する行動が各地で行なわれたように、他の地域に押しつけるのを拒否する考えもある。そもそも持っていけないからこそ敷地内に新たな貯蔵施設を作る話になるのだ。そこに運転を再開した原発があれば、その延命につながる。電力会社は廃止措置の終了までに撤去すると強調するものの、何の保証もない。いわんやMOXの使用済み燃料においてをや。

同じことが、廃止措置に伴って発生する放射性廃棄物についても言える。どこに持っていくか、持っていけるのか、敷地内に居座らないか、持ち出せればそれでよいのか。はっきり言えることはただ一つ、廃棄物のほとんどを産業廃棄物として処分したり再利用したりできるという考えだけは、とうてい許すことはできない。

いや、もう一つ。課題はあっても廃止は早ければ早いほどよい。