コラム「風車」2021年9月

9月3日、菅首相の退陣表明と合わせて? 第6次エネルギー基本計画案についての意見募集が始まった。8月4日の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会で素案を大筋了承、後は分科会長一任とされてから1ヵ月も滞った末の正式案である。

自民党などが盛んに新増設・リプレースの記載を働きかけ、分科会委員にも賛同者が多かったとはいえ、まだ固執したからということでもないだろう。記載したところで、電力会社にその気はない。7月28日付の電気新聞では自民党の山際大志郎衆議院議員が記載必要論を一蹴した。「30年までにそうした可能性があるのに記載しないのであれば問題だが、再稼働が進んでいない。まずはそこに最大限注力すべきで、その後にリプレースが必要になるというのがコンセンサスだ」

素案に「必要な規模を持続的に活用していく」と書き込ませたのは、そのことを意味しているらしい。再稼働と40年超運転で筋道をつけて新増設・リプレースへという次第である。とはいえ、しょせん机上の空論。電力会社をその気にさせる手立ては現行計画から第6次計画へ、必要性を訴えつつ無策のまま引き継がれた

正式案で書き換えられたのは、再生可能エネルギーの1次エネルギー供給増に伴う数値。電源構成の比率は変わらない。