コラム「風車」2021年11月

 寿都町長選の結果は、選挙では代替できない住民投票の重要さを改めて示したと言える。「核のごみ調査継続支持」と報じた新聞もあるが、住民投票なら、結果はちがっていただろう。

原子力をめぐる住民投票はこれまで、1996年に新潟県巻町(現・新潟市)、2001年に同県刈羽村と三重県海山町(現・紀北町)で行なわれた。巻町、海山町では原発建設への、刈羽村ではプルサーマル実施への賛否が問われ、いずれも反対が賛成を上回った。原発建設の可否を問う住民投票条例は、高知県窪川町(現・四万十町)、三重県南島町(現・南伊勢町)、同県紀勢町(現・大紀町)、宮崎県串間市でもつくられたが、投票未実施のまま原発建設計画はすべて阻止された。

海山町では原発誘致派が建設への機運を一気に盛り上げようと住民投票に持ち込んだにもかかわらず、結果は反対が67%となった。柏崎刈羽原発7基の原発城下町である刈羽村でプルサーマル反対が54%に達した。そんな両町村だが、首長選挙では誘致派・推進派が当選している。核のごみ調査継続の町長が6選された寿都町でも、北海道新聞の出口調査では44%が調査の即時撤回を求め、調査継続は33%(うち半数は文献調査に限定)にとどまった。 調査撤回か継続か、民意は未だ問われていない。