コラム「風車」2010年4月

「風車」2010年4月号

「政府は、経済産業省の特別の機関である原子力安全・保安院を内閣府に移管して、原子力推進行政を担う経済産業省から組織上分離する方向で検討を開始する」――02年10月11日付の電気新聞は、1面トップ記事でこう報じた。

しかし、たちまち有耶無耶となって政権交代後の今年3月30日、同紙は「保安院分離で議論開始の方針」と、1段見出しの小さな記事を載せている。29日の政務3役会議後、経産省の増子輝彦副大臣が、公式に議論を始める方針を改めて表明したのだそうだ。「同副大臣は『いまのダブルチェック体制でもいいだろうと思っている』と指摘したうえで、『(保安院)分理論に前向きということではなく、議論することに前向きということ』と説明した」という。

02年は青森県知事の要求、今回は福島県知事の要求にこたえたものだが、その場しのぎの感は免れない。原子力安全・保安院は01年1月に発足し、今年で10年目となる。昨年7月には「原子力安全・保安院の使命と行動計画」をまとめ、「引き続き、その実効的な独立性を維持するとともに強化する」と宣言した。「経済産業大臣の権限の下」「実効的な独立性を持つ」というのがミソらしい。

元福島県議の副大臣は、本当にそれでいいのだろうか。