「風車」2007年7月号
「露、原発爆発!?住民パニック」――5月23日付産経新聞の記事の見出しだ。そんな記事があると6月25日付電気新聞のコラムで教えられて、図書館でコピーをしてきた。
ボルゴドンスク(ロストフ)原発で爆発が起きたとの噂が5月19日以降、インターネットや人づてで流れ、非常事態当局には20日だけで30万件の電話が殺到したという。「当局が否定するに従って『国が否定する噂には根拠がある』とパニックに輪をかけた」との説明が興味深い。電気新聞のコラムの筆者ならずとも心配にもなろうというものである。
コラム筆者は言う。「今、日本の原子力は疑心暗鬼が横行しているから、発電所は荒波の中の小船のように噂の波に翻弄されるにちがいない」と。国や電力会社が否定すればするほど、むしろ信憑性ありとパニックに輪がかかるとしたら、言うまでもなくそれは、昨今の、いや原発が動き出して以来の歴史と共にあるデータ改竄・捏造・偽装・隠蔽が育んだものだろう。「疑心暗鬼」といった独りよがりな高の括り方が、その根底にある。
噂ですらパニックを起こす。カンボジアでの「放射性廃棄物放置」の噂(1998年12月)では、避難する住民による交通事故などで死者まで出た。国も電力会社も信用できない中で原発で本当に大事故が起きたら……。