福井県が日本初のクリアランス集中処理事業を計画 フリーリリースの先兵に

宮崎 宗真(ふるさとを守る高浜・おおいの会会員)

福井県おおい町の産業団地に、兵庫県本社の(株)TVEが、クリアランス金属(CL)の加工工場を建設すると説明があった。不安で問題点を探ると、福井県が、日本初のCLの集中処理事業を計画していると知った。

2004年のCL制度導入時、市民生活の安全のため住民側が勝ち取った電気事業連合会の自主ルール「制度が定着するまでの間、①業界内で再生利用 ②自主的に搬出ルートを把握する」は今も生きている。

数年前から資源エネルギー庁と事業者が制度定着の布石を打ち、今年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画では、「早期のフリーリリースを実現する。……CL物の検認の効率化に向けて、集中処理事業等の取り組みの支援を行い……」と明記された。その先兵が、多くの廃炉原発を抱えた福井県なのだ。

これまでは、発電所事業者ごとに、放射線の測定・評価方法を認可申請し、国の審査後、認可を得た方法で測定・確認申請。国は放射能濃度確認後、確認証を交付という2段階の審査後、初めてサイト外での再生利用が可能になっていた。ところが、集中処理では、各発電事業者から測定していない放射性廃棄物「CL推定物」なるものをサイト外の集中処理工場に搬出、そこで分別・除染・切断し溶融処理、溶融後初めて測定してCL認定する。CL値以下であればCLと認定、CL値以上の物はCL対象外となり、そのCL推定物の搬出元事業者に返還される。

今年1月29日、原子力規制委員会は、〇集中処理の実施に、法規則の改正の必要なし。〇審査基準に「認定前溶融等の処理を行う場合は、意図的な希釈をしない」ことを明記する。〇それ以外は認可申請があった段階で審査する―と決めゴーサインを出してしまった。技術的な論点が曖昧で、安全性が保たれるのか心配でならない。

一方、福井県は、事業見通しが立ったとし、敦賀市に建設の新会社設立の為、2025年度の当初予算に県出資金として10億2千万円(出資比率51%)を計上。残りは嶺南市町が3億8千万円、民間(県内の金融機関、関西電力、日本原子力発電)が6億円の出資意向を示している。

フリーリリースは全国的な問題だ。CL制度の定着阻止の全国的な取り組みが切望される。