「風車」2008年12月号
「こんなこと、知っていました?」と見せられたのは経済産業省の裁決書。同省による行政処分に対する不服申立てである審査請求へのご返事だ。「ン十年前のものまでさかのぼって、なぜかいま、せっせと処理しているんですよ」と知ったかぶりをしたのは間違いで、問題は裁決の中身だった。
審査請求は、01年11月の浜岡1号でのECCS系配管爆裂事故を受けて点検のため停止され、02年5月に運転を再開しようとした途端に冷却水漏れ事故を起こして7月から定期検査に移行した同2号が03年1月に定期検査終了証を交付されたことへの異議。裁決は、予想通り審査請求を却下するものだが、予想外だったのはその理由だ。検査は適法になされた、というのではないのである。
裁決書は言う。「関連法令上行政庁が定期検査を終了したと認めて終了証の交付を受けた後でなければ設置者として当該電気工作物を使用してはならないとの規定が置かれているわけではない」。即ち「検査終了の確認及び検査終了の通知に過ぎな」く行政処分でないので「不服申立ての対象とはならないものと解される」。
へえ、定期検査ってその程度のものだったんだ。ならば検査を終了させずに使用を再開してしまえば、法令上、次の定期検査を受けることなく運転が続けられそうだ。いいのかな、それで。