コラム「風車」2008年6月

「風車」2008年6月号

6月3日付読売新聞の短評欄「コンパス」が面白かった。筆者は中島達雄記者である。題して「原子力支える組織 不可解な行動」。

「もんじゅ」の燃料の話だ。古い燃料で起動できなくなるタイムリミットがいつなのかを原子力機構に尋ねたが、「計算結果には幅があり、誤差も大きいので出せない」(おいおい!)などと言い訳ばかりで「2ヵ月近く待っても答が返ってこない」という。「なぜ隠すのか」と中島記者は不審顔だ。

「不可解な行動」はもうひとつ。5月27日の地球惑星科学連合大会で東洋大学の渡辺満久教授が、六ヶ所再処理工場の直下に活断層が存在する可能性について発表した。その時のことである。「学会では、発表者に意見や疑問を投げかけて討論する時間がある。ところが、その場にいた複数の日本原燃職員は、何も言わずに沈黙したまま。活断層の存在を認めるのかと思ったら、翌日の午後になって、ホームページに反論を掲載した。ならばなぜ、学会の会場で議論しなかったのか」。

図々しく丸写しをしてしまった勢いで、結語も引用させてもらおう。「このような組織に日本の未来を託してよいものか。ちょっと不安になってきた」。

そう書くのは口惜しいけれど、本欄よりもずっと切れ味のよいコラムだった。脱帽。