コラム「風車」2008年5月

「風車」2008年5月号

4月23日、経産相が大間原発の原子炉設置を許可した。英投資ファンドTCIの買収意欲をそぐ狙いもあってのことと“情報通”は言う。さて、どうなのだろうか。

Jパワーこと電源開発は当然ながら喜びのコメントを出しているものの、常識的にはとてもホンキとは思えない。5月中にも着工というが、2年前の計画では06年8月の着工とされていた。それでも運転開始の予定は12年3月で変わらない。建設期間はわずか4年弱に縮まってしまっている。

電源開発にとっては初めての原発であり、世界初のフルMOXのABWRである。しかも始めからそれとして準備してきたわけではなく、高温ガス炉、CANDU炉と国策に合わせて違う炉型に乗り換えてきた。大間町に申し入れた当初には新型転換炉だった。十分な技術的蓄積もなく、非現実的な建設期間を見込んで着工しようとすること自体、ホンキさが疑われる。六ヶ所再処理工場の本格運転入りのための露払いさえできればよいということか。

原発建設は、東海原発の受注に失敗して以来の悲願かもしれないが、他の電力各社は「国に言われてやっている」。石炭火力も国に押しつけられた、と4月23日付の電気新聞は書いていた。そんな主体性なき電力会社の中にあって孤高を気取るのは、元国策会社の矜持か時代錯誤か。