「風車」2008年4月号
3月21日に閣議配布された07年版の『原子力白書』が不評である。他ならぬ原発推進派から。
24日付読売新聞の社説は言う。「原子力の意義を、今ほど、広く理解してもらうことが必要な時期はない。ところが、政府の原子力委員会がまとめた今年の原子力白書にはそのメッセージがない」。「原子力委は原子力政策の司令塔だ。その意義を訴える重要な使命を放棄したのだろうか」。
確かに、初の原子力白書から50年、「地球温暖化対策のため世界的な原子力利用の拡大を初めて訴えた」という触れ込みに反して、白書の記述は、まことにもって頼りない。25日付電気新聞のコラム「焦点」は嘆息する。「元気がない。多くの課題に苦悶、不安、失望を感じ、50年を過ぎ、老いてしまったのかと心配する」と。しかしそれが現実というものだろう。
読売の社説は元気に力説する。「原子力委が設けた有識者の懇談会は今月、原子力利用の将来像を報告書にまとめている。原子力発電を地球環境問題対策の一環に位置づけるよう求め、海外での原子力建設への支援、革新技術の開発など具体策を掲げた」。
だがしかしビジョン懇設置翌日の07年6月20日付電気新聞「デスク手帳」には、こうあった。「温暖化だけ目を奪われても。伸びぬ需要。闇雲につくる訳には」。やはり元気になれるはずもない。