コラム「風車」2007年10月

「風車」2007年10月号

「発受電総計毎時間実績」というデータがある。いや、あったというべきか。今はもう見ることができなくなってしまったからだ。毎日毎時間の各電力会社の発電+他社からの受電の実績を月ごとにまとめたものである。これを見ると、夏の電力需要のピーク時でも、早朝には昼間の半分以下の需要となることがよくわかった。日曜や盆休みの朝には月間最大時の3分の1にもなる。

ある電力関連組織の資料室にあって、閲覧のみでコピーができなかったから、1社で1月31日掛ける24時間分の数字をひたすら書き写してきて、貴重な資料としていた。それが突然、データの載っていた『月報』が廃刊となったという。

仕方なく国会議員の調査権で同様のデータを請求してもらって入手した。ところがそれも翌年には「そうしたデータ自体をつくらなくしたから」と出なくなった。理由は「電気事業が自由化されたから」だという。そう言えば中部電力から発表されていた正月の朝の最低需要の数値が同じ理由で04年から公表されなくなったとの新聞記事があった。「電力自由化に伴い、余剰電力の参考になるデータの公表は営業上不利益になる」のだとか(04年1月10日付朝日新聞名古屋本社版)。

実はその数値はまだ別ルートで手に入るが、こんなことを書くと来年には駄目になるかもしれない【実際、ダメになった】。