2011年度電力供給計画を見る
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電力各社は各年度、当該年度の開始前に「供給計画」を経済産業大臣に届け出ることが電気事業法に定められている。しかし今年度は東北、東京の両電力が計画を取りまとめられる状況になく、4月16日現在、届け出はなされていない。言うまでもなく、東日本大震災を受けてのことである。
大震災と、そのさなかに発生した東京電力福島第一原発での各炉連鎖大事故は、他の電力会社の原発建設計画にも波及してしかるべきだ。しかし各社とも、表面上は何ら従前と変わらない計画を届け出ている。どうせ毎年、あるいは2年に1度は、前年度の計画を先送りにしたりしている形だけの計画だから、次年度に変えればよいと考えたのだろうか。
実は東北電力の浪江・小高、東通2号、東京電力の福島第一7、8号、東通2号こそ、毎年決まって1年先送りになっていた建設計画である。この1月に建設を開始した東京電力の東通1号にしても、それまで先送りの常連の1つだった。福島第一原発の事故がなかったとしても、間違いなく1年先に計画は延ばされていたはずだ。福島第一原発の事故後、東京電力は東通1号の建設工事を中断している。電源開発も、大間の建設工事を中断した。
東北・東京両電力の計画が出てこないので、今年度の計画先送りは、建設中の中国電力島根3号の運転開始が今年12月から来年3月に、安全審査中の日本原子力発電敦賀3、4号の運転開始が、それぞれ16年3月から17年7月、17年3月から18年7月に、と延ばされただけとなった。いや、もうひとつ。中部電力が計画中の浜岡6号がある。20年度以降の運転開始とされていたものが、21年度以降と先送りされた。「平成30年代前半」とカッコ書きがあるから21?23年度と、1年以上先延ばしされているのかもしれない。
島根3号の運転開始延期は、制御棒駆動機構のトラブルによるもので、福島第一原発とは無関係のようだが、東日本大震災には関係している。同機構を製造した日立で分解点検を行なうとされていたが、日立の工場が震災で止まっているのだ。運転開始は、さらに先に延びるだろう。
敦賀3、4号の遅れは、耐震問題で安全審査が長引いているためである。昨年10月に予定されていた着工ができず、その時点で遅れが表明されていた。東日本大震災により、やはり先送りがつづきそうだ。
微妙なのは、九州電力が計画中の川内3号だ。こちらは19年度とされていた運転開始が19年12月となった。着工は13年度から14年3月となった。変わったような変わらないような……。
なお九州電力は4月11日、「現在のスケジュールに固執するつもりはない」と社長が表明、今後の手続きを当面見合わせるとした。
中国電力は、上関1号の準備工事を中断したものの、12年6月着工、18年3月運転開始の計画は変えていない。2号についても、17年度着工、22年度運転開始のままとした。もっとも、両計画とも前年度に前々年度から2年先送りにしたばかりである。
(西尾漠)