高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定の文献調査の実施受入れに反対する要請書

2026年9月4日

常陸大宮市長
鈴木定幸様


 8月31日、経済産業省から貴職に対して、高レベル放射性廃棄物最終処分場に関する文献調査の実施についての申入れがありました。
 突然の発表をニュース報道で知った地元市民らは、誰もが驚き、「なぜ常陸大宮市に核のごみが来るのか」「寝耳に水」「どこの地域なのか」と口々に不安の声が上がっています。
 市民の不安が強い中でなぜ今、高レベル放射性廃棄物の受入れ調査なのでしょうか。大きな疑問です。
 高レベル放射性廃棄物とは原子力発電によって生じる廃棄物、いわゆる「核のごみ」のことです。日本では使用済み核燃料をすべて再処理して、ウランやプルトニウムを取り出し、残った廃液をガラスで固めてステンレス製の容器に入れて「ガラス固化体」にします。その「ガラス固化体」が高レベル放射性廃棄物と呼ばれている「核のごみ」です。「ガラス固化体」は、接近するとわずか数十秒で人間の致死量に相当する強烈な放射線を出します。この致死量の放射能レベルがウラン鉱石程度までに低下するには約10万年という長い時間が必要と言われています。
 地層処分は、この核のごみを地中数百メートルに埋めて、10万年という遠い将来の世代にまで責任を押しつけていく政策です。世界でも地下に埋めた「ガラス固化体」を安全に保管できるという技術を確立した国はありません。フィンランドでは「放射能が安全なレベルに下がる10万年まで保管する」ことを確認していますし、アメリカ環境保護庁では、高レベル放射性廃棄の地層処分後、放射能規制を100万年間行うと定めています。
 地震や地殻変動の激しく起こっている日本では地層処分のリスクは大きく、安全に管理できる保障はありません。また、常陸大宮市においては茨城県地震被害想定調査が設定する「棚倉破砕帯東縁断層・同西縁断層の連動によるMw7.0(モーメントマグニチュード7.0)、常陸大宮市最大震度7」による地震被害を想定しています。地層処分の安全性が確認できていない現在、まずは核のごみを生み出し続けている原発推進を改めて、これ以上使用済み核燃料が発生しないようにすることです。
 経産省は、常陸大宮市南東部は海岸からの距離などで、「(高レベル放射性廃棄物)の輸送面でも好ましい」と述べたようですが、核のごみを人口が密集している近隣自治体を通って陸上輸送する危険性も大きく、常陸大宮市が適地だとする発言は到底納得の得られるものではありません。また、近くには久慈川、那珂川の大河川があり、地下水の流れも顕著であり、決して安定した地層とは言えません。
 貴職は、8月30日の記者会見の中で、申入れについて、「個人的には前向きにとらえている」として、受け入れのメリットについて、国から最大20億円が交付されることを念頭に「経済的な部分、町づくりの根幹として地層処分を考える」や「お金の問題と感じている」と言明されましたが、「金」で候補地を吊り上げようという政策に乗り、「金目当て」で、自治体財政を補填しようとすることは、将来にわたり大きな禍根を残すことになるものです。
 以上のことから私たちは、今回の文献調査の受入れの「前向きに検討」という発言の撤回を求めるとともに、市民の命や暮らしの安全・安心を守るため、文献調査の受入れに反対し、以下を要請します。

一.  常陸大宮市は、核のごみの文献調査の受入れには同意しないでください。

                                    要請団体

茨城平和擁護県民会議
代表 鈴木 博久 井坂 章 高橋 昭雄

                       茨城県平和フォーラム
                         代表 千歳 益彦

脱原発とうかい塾
世話人代表 相沢 一正

原水爆禁止日本国民会議
共同議長 川野 浩一 金子 哲夫 染 裕之

原子力資料情報室
                        共同代表 山口幸夫 西尾漠 松久保肇

平和運動センター関東ブロック連絡会
                          代表 中條貴仁

                                                  以上