原発はどのように壊れるか ―金属の基本から考える

基本情報

編著 小岩昌宏・井野博満
発行 原子力資料情報室
発行日 2018年3月31日
定価 1,800円
会員価格 1,500円

概要

原発が老朽化すると、金属材料にどんなことがおこるの?
話題の中性子照射脆化って一体どういうこと?
金属の専門家が“きほん”から“原発での実例”まで解説します!

再稼働を目指す原発の適合性審査が原子力規制委員会によっておこなわれている。だが、それは「安全かどうか」を審査するものではない。原発はけっして強固なものではなく、壊れるものである。そのことを、金属の基本から考えようというのが本書の目的である。
きっかけは2016年7月、原子力資料情報室の公開研究会「原発はなぜ老朽化するのか」で、小岩昌宏さんに金属の基礎から説き起こして解説をしていただいたことである。会場は満員だったが、参加できなかった会員のために、講演の内容をふくらませ、小岩昌宏・井野博満の共同執筆で冊子をつくることにした。

追加情報

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もくじ

はじめに

Ⅰ 金属の基本
1章:金属と合金
1.1 コイン(硬貨)の話
1.2 金属の特性
1.3 2元状態図―融点が低い金属
1.4 ジュラルミン
<コラム> 重量パーセントと原子パーセント
1.5 酸化しやすい金属、しにくい金属
1.6 錆びにくいはがね ステンレス鋼
<コラム> JIS材料記号の意味
2章 結晶
2.1 基本的な構造
2.2 結晶の方向、面
2.3 格子間位置―軽元素の侵入場所
2.4 単結晶 多結晶 結晶粒界
2.5 多形と同素変態
3章 拡散と格子欠陥
3.1 拡散―侵入型原子と金属原子の場合
3.2 結晶には欠陥がある―格子欠陥
3.3 拡散係数の大きさと温度依存性
3.4 自己拡散.放射性元素を用いて拡散係数を求める
<コラム> 拡散方程式とその解 拡散係数の測定法
<コラム>「拡散」という用語に気をつけよう
4章 組織形成とその変化 凝固 加工 再結晶
4.1 溶融金属の凝固過程
4.2 偏析―二元合金の凝固
4.3 帯溶融精製(ゾーン精製)
4.4 金属の塑性加工法
4.5 金属の加工と熱処理による組織変化
4.6 溶接と熱影響部
<コラム>フランス発の原子炉鋼材の強度不足疑惑
5章 鉄と鋼
5.1鉄と鋼
5.2製鉄の歴史
(1)原始的な製鉄法
(2)木炭から石炭へ、そして水車から蒸気機関へ
5.3 高炉の構造と機能
5.4 製鋼
5.5 鉄鋼の組織と強度
<コラム> 鉱物資源と環境負荷

Ⅱ 金属の強さと弱さ
6章 材料の強度と測定法
6.1 引張り試験
<コラム> SI単位系について
6.2 硬さ試験
<コラム> 地震を経験した原発の健全性 ―硬さ試験で調べる? それは無理だ!
6.3 衝撃試験(シャルピー試験)
6.4 クリープ試験
6.5 疲労試験
7章 塑性変形と転位
7.1 延性と脆性
7.2 単結晶の変形挙動
(1)理想的なへき開強度
(2)理想的なせん断強度
<コラム>弾性率
7.3 実際の結晶と理想結晶の強さの比較
7.4 転位を動かすのに必要な力
7.5照射硬化
 <コラム>強い、硬い、脆(もろ)い―その関係は?
8章 き裂がある材料の強度 破壊靭性とは
8.1 グリフィスの実験 ―へき開強度の理論値と実測値の違いをどう説明するか―
8.2 き裂応力集中効果
8.3 き裂を進展させる応力(破断応力)
8.4 金属材料への拡張
8.5 き裂がある(かもしれない)材料の強度特性の評価(破壊靭性値と応力強度因子)
8.6 強度と破壊靭性値の関係
 <コラム>マスターカーブ法
<コラム>脆性破壊で起った海難事故

Ⅲ 原子炉材料とその経年劣化
9章:原子、原子核、核分裂
9.1 原子と原子核
9.2 ウランの核分裂
9.3 核分裂の持続
     <コラム>エネルギーの単位:エレクトロンボルト(eV),ジュール(J)
  9.4 ウランの濃縮
 <コラム> 劣化ウランは何に使われているか
10章:原子炉で使われる材料
10.1 発電用原子炉の種類
10.2 核燃料と燃料棒まわりの材料(被覆材、制御材、減速材)
10.3 原子炉圧力容器と炉内構造物
 <コラム>材料のお値段
11章:金属材料の経年劣化
11.1 照射損傷
 (1) 原子のはじき出しと核変換
  <コラム> 原子のはじき出しによるフレンケル対の形成
 (2) 照射脆化
  11.2 金属疲労
 (1) 疲労を評価するS-N曲線
 (2) 疲労設計
  <コラム> 疲労が原因で起きた原発事故
11.3 腐食
 (1) 腐食とは
 (2) 減肉とエロ―ジョン・コロージョン
 (3) ステンレス鋼(再循環配管・シュラウドなど)の応力腐食割れ
  <コラム> ひび割れ隠しとひび割れ検査
11.4 原発における劣化事象のまとめ

Ⅳ 照射脆化
12章:原子炉圧力容器の照射脆化
12.1 歴史
  <コラム> 日本の規制で脆性遷移温度はどう扱われているか
12.2 脆化予測
12.3 圧力容器脆化の現状と特に危険な原発
   (1)玄海原発1号炉の異常照射脆化
   (2)急を要する高浜原発1号炉の照射脆化
13章:原子炉圧力容器脆化予測法の問題点と原子力規制委員会の技術評価
13.1 電力中央研究所の脆化予測法
13.2 原子力規制委員会による技術評価
  <コラム> 原発の運転・廃炉の状況と40年運転期限ルール
14章:原子炉圧力容器の破壊靭性評価
14.1 原子炉圧力容器の加圧熱衝撃とは
14.2 破壊靭性曲線の求め方
14.3 PTS状態遷移曲線(KⅠ)の不確かさ
14.4 高浜1号機の破壊靭性評価

Ⅴ 金属材料と原発の設計
15章:原発設計に求められる金属の強さ
15.1 構造物の破損モード
15.2 原発の重要構造物の設計
      <コラム>ASMEの応力分布の考え方と日本での採用
15.3 原発の耐震設計
15.4 原発に安全余裕はあるのか―許容値の考え方
15.5 「三つの安全余裕論」は本当か
15.6 耐震偽装実例
     (1)美浜原発3号機蒸気発生器伝熱細管の許容値偽装
     (2)柏崎刈羽原発7号機での耐震偽装
15.7 原発の設計思想批判

執筆を終えて
新潟県小委の経験を糧として 小岩昌宏
本書に込めた気持ち 井野博満
あとがき
索引