日本の核武装と東アジアの核拡散
論文「日本の核武装と東アジアの核拡散」
フランク・バーナビー
ショーン・バーニー
最初に、長崎への原爆投下に始まる60年間の歴史を手短に述べている。次に、日本がプルトニウムを確保しようとしてきた流れを追っている。ここで重要なのはアメリカとの関係である。日本が再処理をおこなうことをアメリカに認めさせるには、それなりの交渉の経過があった。続いて、青森県六ヶ所村にある再処理工場が運転に進もうとする動きについて論じている。ここで重要なのは、保証措置に関する問題と、分離されるプルトニウムの用途がほとんどないことである。前者については、国際原子力機関(「IAEA」)の査察が非常に有効ではないとの指摘が印象的である。工場に入ってくる使用済み核燃料の中に含まれているプルトニウムの量を知ることさえ厳密には難しい。後者との関係では、高速増殖炉が多数建設される状況にないこととプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)を軽水炉の燃料とする「プルサーマル計画」が順調には進んでいないことが問題となる。これではプルトニウムの行き場はない。最後に、日本が核兵器をもつ可能性についての分析を記している。この問題は外交や国内政治と関係するデリケートなもので、人によって考え方はさまざまであろう。原子力に関する知識が深い外国の人がどう考えるかを知るために読んでもよいかも知れない。