六ヶ所再処理工場・拙速なアクティブ試験第2ステップ報告書提出

六ヶ所再処理工場・拙速なアクティブ試験第2ステップ報告書提出

■日本原燃が六ヶ所再処理工場のアクティブ試験第2ステップに関する報告書『アクティブ試験中間報告書2-1』(以下『報告書2-1』)を、12月8日に原子力安全・保安院に提出しました。第2ステップは、PWR(加圧水型軽水炉)使用済み燃料集合体109体(約50トン)、BWR(沸騰水型軽水炉)使用済み燃料集合体57体(約10トン)を再処理する計画です。しかし今回提出された『アクティブ試験中間報告書2-1』は、8~11月のPWR加圧水型軽水炉の燃料約50トン分だけの報告書となっています。沸騰水型軽水炉の燃料約10トンを処理した11月以降の試験の結果については、追加で年内に報告する予定とされています。

■ 日本原燃によればアクティブ試験の第2ステップは、2006年8月12日に開始され、12月6日に終了したとしています。6日に終了した試験の『報告書』が部分的とは言え、終了のわずか2日後(8日)、国に提出されたのです。 『試験報告書』さえ全体の出来上がりを待てず、急いで部分的に作成し、原子力安全・保安院もそれをそのまま受け取っています。

■原子力安全保安院、原子力安全委員会と日本原燃が、遅れている試験のスケジュールを修正するため、「拙速」な報告書提出、「拙速」な評価を目論んでいることは明らかです。事実、原子力安全委員会は、試験が終了していない、そして『報告書2-1』も国に提出されていない12月4日、ホームページに再処理再処理施設安全調査プロジェクトチーム(第18回)開催の通知を掲載しました。この会合が六ヶ所再処理工場のアクティブ試験第2ステップの試験報告を審議するものであることは明らかで、国(原子力安全・保安院、原子力安全委員会)と日本原燃は、試験結果の評価日程を「談合」していたのです。このような国の評価では、工場の安全性評価など、形だけのものとなるのは自明です。

■試験運転の結果の評価という重要な作業において、キチンと報告を作成し、慎重に審議・評価するという正当な手続きを踏むことさえできない日本原燃、原子力安全保安院、原子力安全委員会に、私たちは何を期待できるのでしょうか。やみくもにアクティブ試験を進め、工場の稼働スケジュールだけしか考えていない事業者、それをチェックするどころかこの暴走に手を貸す原子力安全・保安院、原子力安全委員会に、再処理工場の安全を委ねることが自体問題となっています。奇しくも『報告書2-1』が提出された12月8日は、1995年高速増殖炉もんじゅがナトリウム火災事故を起こした日です。もんじゅ事故のような大事故を、再び許してはなりません。

■BWR燃料の問題
『アクティブ試験計画書』によれば、第1と第2ステップ、第2と第3ステップの間にホールドポイントが設定されています。しかし第3~第5ステップの間には評価ポイントは予定されていません。試験の概要をみると第2ステップまではほとんどPWRの燃料しか処理されておらず、第3ステップでBWR燃料が再処理されます。処理量を見てもここまでが試験の前段です。第2ステップまでの燃焼度の低い放射能量の少ない使用済み燃料の評価のみで、残りの340トンの再処理全体のゴーサインが出されるとすれば、安全評価としては非常に大きな問題です。六ヶ所再処理工場が技術を導入しているフランスのラ・アーグUP-3工場の実績からみてもそうなのです。なぜならUP-3工場が再処理したフランスやドイツの原発はほとんどPWR燃料なのです。六ヶ所再処理工場が技術を導入したUP-3再処理工場には、BWR燃料再処理の実績がわずかしかありません。ところがアクティブ試験では、PWR燃料が210トン、BWR燃料が220トンと、ほぼ同量再処理される予定です。(『アクティブ試験計画書』8ページ参照)

■『アクティブ試験中間報告書2-1』は、全体が69ページ。日本原燃が安全を確認したとしているデータの多くは、公開に際してマスキング(白抜き)され、事業指定申請書に記載されている規制値も非公開となっている。

■日本原燃『アクティブ試験中間報告書2-1』
www.jnfl.co.jp/press/pressj2006/pr061208-1.html

■日本原燃『アクティブ試験計画書』
www.jnfl.co.jp/cycle-recycle/testing/uran-testing-plan060707.pdf

■原子力安全・保安院
www.nisa.meti.go.jp/interface/nisa/regularly/announce/info.cgi?mode=content&category=1&page=1541

■原子力安全・保安院の『報告書』に関する審議は、下記のワーキンググループと小委員会で審議されますが、現時点で会合の日程は公開されていません。(ワーキンググループは非公開)

1)原子力安全・保安院の総合資源エネルギー調査会
原子力安全・保安部会
核燃料サイクル安全小委員会
再処理ワーキンググループ

2)原子力安全・保安院の総合資源エネルギー調査会
原子力安全・保安部会核燃料サイクル安全小委員会

■原子力安全委員会の『報告書』に関する審議は、
下記会合の開催が公表されています。
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■原子力安全委員会
www.nsc.go.jp/kaisai/senmon/senmon/saishianpro_f.htm

再処理施設安全調査プロジェクトチーム(第18回)会合の開催について
平成18年12月4日
原子力安全委員会事務局

 上記会合を下記の要領で開催しますので御連絡いたします。なお、本会合は一般に公開する形で行います。

 記
1.開催日時   平成18年12月13日(水)15:00~17:00
2.開催場所   東京都千代田区霞が関3-8-1 虎ノ門三井ビル2階原子力安全委員会 第1、2会議室
3.議題(予定)  
1)現地調査の結果について
2)アクティブ試験の進捗状況について
3)知識基盤化システムの構築に向けた取組状況について
4)保安規定の遵守状況について
5)その他

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■関連報道

【東奥日報】
www.toonippo.co.jp/news_too/nto2006/20061209115101.asp

【毎日新聞】
www.mainichi-msn.co.jp/chihou/aomori/news/20061209ddlk02040074000c.html

■アクティブ試験中間報告書(その1)
www.jnfl.co.jp/cycle-recycle/testing/uran-testing-progress060707.pdf

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