東洋町長は町民に謝罪し応募活動を白紙撤回せよ?「公募」を中止し、根本からの議論を起こせ
東洋町長は町民に謝罪し応募活動を白紙撤回せよ
「公募」を中止し、根本からの議論を起こせ
――原子力資料情報室からのアピール――
2007年1月16日
原子力資料情報室
高レベル放射性廃棄物処分場の候補地に町長が応募しようとしているとして反対運動が起きている高知県東洋町で、実は昨2006年3月20日に町長が応募書を処分実施主体の原子力発電環境整備機構(NUMO)に提出したが受理されなかった事実が1月15日、明らかとなった。
町長は「県外の知人から応募の話を持ちかけられた。(書類を)出すことで交付金が得られて、町が潤うとのことだったので公印を押して知人に渡した。単純な気持ちで書類を作成したことは認識不足であり、軽率だった」と釈明したという(1月15日付高知新聞夕刊)。今になって「勉強」を強調している町長が勉強をしないうちに応募したのは軽率にも程があるし、その後ずっと町民を騙しつづけてきたことは軽率ではすまされない。町民への謝罪と応募活動の白紙撤回が、まず必要である。
と同時にこの事態は、今回は「住民や議会の合意が得られてから」とNUMO側が受理しなかったとはいえ、町長が「単純な気持ちで」独断で応募できてしまう「公募」の欠陥が露呈したものと言える。一方で文献調査だけの段階で多額の交付金をちらつかせ、他方では住民の意見を聞くこともなく、認識不足なまま簡単に応募書が出せてしまえる手続きとすることで、ともかくも応募させてしまうのが「公募」のしくみである。
これまでに浮上したどの市町村でも、ひたすら交付金目当ての応募ばかりという「公募」の実態だが、応募さえさせてしまえば候補地を選べるし、応募が1ヵ所しかなくてもそこを強引に候補地にしてしまえる――というのが、NUMO側の考えであることは明白である。
東洋町長が12月14日に出した質問状に21日、経済産業大臣から回答があり、「当該都道府県知事又は市町村長が概要調査地区等の選定につき反対の意見を示している状況においては、当該都道府県知事又は市町村長の意見に反しては、概要調査地区等の選定が行われることはありません」としているが、そうした従来からの説明を信じてよいのかと聞いているのに、回答は従来のものをただ繰り返しただけである点に、「応募さえしてくれたら」の本音が透けて見える。
国中のほとんどの人が何も知らないなかで、財政難に苦しむ自治体の弱味につけこんで処分場を押しつけようとする、こうした「公募」のあり方を根本的に改め、誰からも嫌われるやっかいものの高レベル放射性廃棄物をどうしたらよいかの大きな議論を起こすことを、私たちは政府と電力会社に改めて強く求めたい。