長計策定会議・技術検討小委員会(4)意見
長計策定会議・技術検討小委員会(4)意見
2004年9月9日
原子力資料情報室 伴英幸
1.政策変更に伴うコストについて
実際にどれだけのコストが発生しうるかを検討することの意味はありますが、これをシナリオのコストに加算するのは不適当だと考えますので、コストには加えずに別記することを提案します。その理由は、a)仮に、現状維持のAシナリオと現状変更のBシナリオがあるとして、両者を比較する際、変更に伴うコストをBシナリオに加えるべきではなく、両者を比較してBシナリオがベターとなった後で、変更コストの回収方法が検討されるべきです(Aシナリオがベターならそもそも検討の必要はありません)。この場合、ベターでないAシナリオを選択し固執してきた責任が問われることになりますが、Bシナリオに変更コストを加えて比較することはこの責任を見えなくしてしまいます。b)2002年を起点とする各シナリオの計算になじみません。
2.劣化ウランの処分について
劣化ウランを処分する場合の費用算定については、シナリオ評価のコストには加えずに別記することを提案します。その際、対象となる劣化ウランは日本原燃㈱のウラン濃縮工場から排出されるものに限定して、総量を確定するべきです。その理由は、a)高速増殖炉が実用化されることを前提としていますが、その見込みはないと考えています。それは、燃料倍増時間が50年~90年という評価があり、そこからすれば高速増殖炉の実用化はない(*1)と言えるからです。また、高速増殖炉懇談会では高速増殖炉は選択肢の一つとの位置づけがなされており、高速増殖炉の実用化の明確な見通しが出されていません。したがって、劣化ウランが将来処分するべき対象となる可能性が高く、すべてのシナリオに共通となります。b)仮に高速増殖炉で劣化ウランを使うとしても使い切ることは出来ないと考えます。可能だとの意見があるのなら、定量的に示してください。c)本来はフロントエンドで処分までを含めて費用設定するべきものです。海外から濃縮ウランを調達する場合は劣化ウラン処分に対する責任は発生していません。
3.回収ウランについて
他方、回収ウランの処分費用については、再処理する場合にコストに加えるべきだと考えます。その理由は、回収ウランの濃縮計画がなく、再処理の場合にのみ発生するものだからです。
(*1)小林圭二著「高速増殖炉もんじゅ」(七つ森書館、1994年)P.303