長計策定会議日誌(7)

長計策定会議日誌(7)

2004年9月22日
伴英幸

8月31日と9月10日の技術検討小委員会

ここでは、直接処分のコスト試算のための条件作りが行なわれている。並行して高レベル放射性廃棄物のコスト試算が以前よりも詳しい項目で公表された。それとて、ここの費用の積み上げとしては十分とは考えられない。その明細の公表を要求した。果たしてどこまで公開されるか、国の姿勢がそれで見えてこよう。
この日、劣化ウランの処分費用を直接処分の場合に加算するべきではないかとの意見が突然に出てきた。いったい、何を考えているのか。闇雲に直接処分の費用を加算させたいとしか考えられないような妄動だ。再処理路線では、高速増殖炉が実用化すれば使うことになるのだから貯蔵費用ですむというわけだ。
使用済みMOX燃料の処分費用を入れるべきとの策定会議での主張に、対抗するかのように劣化ウラン処分費が飛び出してきた。そして、3日の策定会議で一応の了解を得た後、10日の小委員会で、結局はコスト試算に含めないことになった。
使用済みMOX燃料だけでなく、劣化ウランや回収ウランなどの処理・処分については、曖昧に進んできているので、これらの将来の扱いに言及したことは一歩前進と受け取っている。そして、その厄介さが明らかになってくることが重要だ。それらは後々に活用できると考えているし、市民側も大いに活用してほしい。劣化ウランや回収ウランは高レベル廃棄物に比べて技術的に容易かもしれないが量が桁違いに多いので厄介だ。1トンのウラン燃料を作るとなると9トン程度の天然ウランが必要だし、使用済み燃料の95%は回収ウランである。
コスト試算が出てくるかと思われた10日の小委員会では、引き続き直接処分場の概念とシナリオ間のフローの確認が行われただけに終わった。とはいえ、この会議では新たに使用済みMOX燃料の処分に対する扱いが確認された。処分費用を使用済みウラン燃料の4倍に見積もることとなった。

9月3日、策定会議

総合評価が奇妙な形で進んでいる。さすがに多くの委員から注文がついていた。伴は、評価の仕方全体について話し合うのがよいではないかと逆提案したが、核燃機構や地元利益代表委員などからは、この日に提案されたエネルギーセキュリティおよび社会的受容性について、再処理はどちらも有利だとの意見表明(ほとんど根拠のある意見とは思えない)が続いた。さすがに他の委員から聞き飽きたと言った意見が出されるほどである。この傾向からして、今後とも、評価項目ごとに大合唱が続くのだろう。さて、脱原発の視点からどのような展開をしていくのか、難所に差し掛かったと感じた。難しいのは、原発の評価からはじめないで、その後の再処理の是非から議論していることである。
ちょっとした話題では、意見書に資料の公開が遅いと書いて前日に提出したところ、会議前に策定会議については2回分、技術検討小委員会については1回分があわてて公開された。