志賀原発1号炉・制御棒が3本も脱落し臨界,さらに原子炉緊急停止失敗 —-北陸電力は志賀原発を運転してはならない!
志賀原発1号炉・制御棒が3本も脱落し臨界,さらに原子炉緊急停止失敗
—-北陸電力は志賀原発を運転してはならない!
停止しているはずの原子炉が臨界状態になった.1999年6月18日に志賀原発1号炉で起きていたのはそんな事故だ.北陸電力は2007年3月15日になってはじめて,「臨界事故」が起きていた事実をあきらかにした.事故が起きたことを8年間隠し続けてきたのだ.
北陸電力の説明はおよそつぎのとおり:————————
定期検査中に,制御棒の急速挿入試験をするための準備中に弁の操作順序をまちがえたことがきっかけで,3本の制御棒が引き抜かれた.
原子炉が臨界状態になって,出力が上昇しはじめたため,原子炉自動停止信号が発せられたが,制御棒の緊急挿入装置が働かなかった.緊急時の制御棒挿入は,窒素ガスの圧力を水圧で動く制御棒駆動機構のピストンに与えることでおこなわれる.ところが,この試験のためにピストンを押し上げる水が流れる弁が閉じられており,窒素ガスの充てんも行なわれていなかった.
その15分後,試験のために閉じていた弁を開いたところ,制御棒が原子炉に挿入された.
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上の説明では不明な点がいくつもある.なぜ簡単に制御棒が抜けてしまったのか? いつ臨界になったことを知ったのか? そのときの制御棒の位置は? 中央制御室で15分間もいったい何をしていたのか? なぜ緊急挿入装置のガス圧がなくなっていたのか?
国による原子炉設置のための安全審査では,「運転時の異常な過渡変化」と「事故解析」において,それぞれ「制御棒の引抜き」と「制御棒落下」について解析し安全性を確認することを求めている.そのなかで想定されているのは,わずかに制御棒1本の引抜きないしは落下であって,今回の事故は発生した事態としてはそれを超えており,安全審査の想定が不十分であることを実証したことになるのではないか[3月16日修正].
また,臨界到達後に原子炉自動停止信号がでているにもかかわらず,自動停止に失敗した.失敗したままの状態で15分も経過している.これは一歩間違えれば,燃料棒の破損,放射能放出という大惨事につながる重大なスクラム失敗事故だ.
経済産業省・原子力安全・保安院は,3月15日に北陸電力に対して,志賀1号炉を停止し,総点検をすることを指示した.あわせて,事実関係と原因の調査,再発防止対策の策定をも指示している.
しかし,北陸電力がとるべき再発防止策は,原発から手を引くことしかありえない.「北陸電力は志賀原発を運転してはならない」
■関連情報へのリンク
◆北陸電力
志賀原子力発電所1号機 第5回定期検査期間中に発生した原子炉緊急停止について
www.rikuden.co.jp/press/attach/07031501.pdf
志賀原子力発電所1号機 第5回定期検査期間中に発生した原子炉緊急停止に係る経済産業省の指示について
www.rikuden.co.jp/press/attach/07031502.pdf
志賀原子力発電所1号機定期検査のための停止について
www.rikuden.co.jp/press/attach/07031601.pdf
志賀原発の定期検査のようす
(原子炉のふたと蒸気タービンの開放の写真あり)
www.rikuden.co.jp/outline2/inspection.html
志賀1号炉第5回定期検査報告書(1999年4月29日?8月20日)
www.rikuden.co.jp/outline1/attach/inspection05.pdf
【志賀1号炉・臨界時の中性子モニタチャート】
※3/17追加
◆原子力安全・保安院
北陸電力(株)志賀原子力発電所1号機における平成11年の定期検査期間中の事故について
www.meti.go.jp/press/20070315003/20070315003.html
北陸電力(株)志賀原子力発電所1号機における平成11年の定期検査期間中の事故について(第2報)
www.meti.go.jp/press/20070315009/20070315009.html
◆読売新聞
原子炉、15分間制御不能に…志賀原発で99年
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070315-00000004-yom-soci
◆毎日新聞
北陸電力:志賀原発の99年緊急停止隠ぺいを発表
www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070315k0000e040051000c.html
◆朝日新聞
原発制御棒はずれ一時臨界に 北陸電力、国に報告せず
www.asahi.com/national/update/0315/TKY200703150136.html