2015年11月5日付中日新聞への伴のコメントについて
もんじゅ廃止し、再処理からの撤退をした場合、すでに存在するプルトニウムの扱いが次の課題となってくる。これについて中日新聞に伴のコメントとしてプルサーマルで処分することを推奨するかの記事が記載された。コメント全文は以下のようになっている。一部、本意と異なる内容となっているので、改めて、政策的方向をまとめた。
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「存在意義はない」
経済産業省の原子力小委員会委員も務めるNPO法人原子力資料情報室(東京)の伴英幸共同代表は、二十年間ほとんど動かず、約一兆円の国費が投じられた「もんじゅ」について、「存在意義はない。廃炉にすべきだ」と主張する。
原子力規制委員会が、原子力機構の運営権剥奪を決めた点は「当然の帰結」と理解を示す。しかし、別の運営主体を探すのは極めて難しい。「半年と言わず、すぐに抜本的な見直しに入るべきだ」と設置許可の取り消しを規制委に求める。
政府は、使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」の中核にもんじゅを位置付けるが、「机上の空論」と指摘。核燃料サイクルの方針をやめ、使用済み核燃料を直接処分する方法への切り替えを提言する。
日本はプルトニウムを既に四七・八トン保有。燃料として使うもんじゅを廃炉にすると、核兵器への転用を国外から疑われる問題が生じる。このため伴代表は、大半を預けている英仏に引き渡すか、ウランと混ぜて通常の軽水炉で燃やす「プルサーマル発電」で消費するかの選択肢を示す。
ただ、廃炉の道も容易ではない。主流の軽水炉と異なり、冷却材として、取り扱いが難しいナトリウムを大量に使う高速増殖炉の廃炉は世界的にあまり例がなく、日本では未知の領域となる。 (中日新聞11月5日)
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プルトニウムの扱いの部分を除いて、要点をきちんと取り上げてくれていて、たいへんありがたいことである。これだとプルトニウムをプルサーマルで処分することを推奨していると読める。しかし、これは私の本意ではない。
本意を端的にいうと、プルトニウムを放射性廃棄物として処理・処分するべきとするのが伴の考えである。国内には高レベル放射性廃液が残っているので、これと混合することで放射性廃棄物となる。政策的方法としてこれを主張したい。
プルサーマルで消費した場合にはきわめて厄介な使用済みプルサーマル燃料が作り出され、この処理・処分の困難さを考えると、燃料として消費することは賢明ではないと考えるからだ。
そうコメントしたつもりだったので記者に確認したところ、メモはそうなっているが、理解不足で纏められなかったとのことだった。記者もこのやり取りで理解が深まったと思うが、自分の説明不足を反省せざるを得ない。