原子力規制委員会へ もんじゅからナトリウムと燃料を取り除くことを求める新たな要請

原子力規制委員会へ もんじゅからナトリウムと燃料を取り除くことを求める新たな要請

 

 原子力規制委員会の勧告(11月13日)からやがて9か月になろうとしているが、いまだ日本原子力研究開発機構(以下、機構)に代わる「新主体」は探し出せていない。報道によれば、運転継続には10年で6000億円必要[i]という。もんじゅの規制基準への適合だけでなく、東海村にある燃料製造施設も規制基準に適合する必要があり、その費用などを積み上げた金額という。田中俊一原子力規制委員長は9月7日の定例記者会見で、既存の施設では適合性審査に合格する見通しがなく、新設が必要との認識を示した。とすれば、費用は一層増大するだろう。

菅義偉内閣官房長官が記者会見で「文科省、関係省庁・機関が連携して、政府としての対応を検討しているところだ」と述べている[ii]。報道の見出しは廃炉を含めて検討しているとしていることから、廃炉も検討しなければならない事態まで来ているということだ。

 

新たな申入れ

 内閣内での検討結果の時期は見通せないが、まずは今のもんじゅが抱える危険を低減する必要があるだろう。そこで、9月7日に原子力資料情報室や原発反対福井県民会議、原水爆禁止日本国民会議など6団体が原子力規制委員会に対して新たに申し入れを行った。要請は2項目。

1)核燃料をすべて原子炉から取出し、別の安全なところに保管するよう命じること。

2)火災や爆発の原因となる恐れのあるナトリウムを取出し、別の安全なところに保管するよう命じること

 これは、規制委員会が昨年11月に文部科学大臣に対して勧告した2項目のうちの後者の勧告の実施を求めるものだ。勧告の2項目は、「もんじゅの出力運転を安全に行う能力を有する者を具体的に特定することが困難であるのならば、もんじゅが有する安全上のリスクを明確に減少させるよう、もんじゅという発電用原子炉施設の在り方を抜本的に見直すこと」となっている。そして田中俊一規制委員長はそんなに簡単に新主体が見つかるとは思えないから、まず安全の担保をきちっとする意味で第2項を付けたと16年5月25日の定例記者会見で発言している。なら、第2項についても文科省は検討するべきであるが、同省が設置した「もんじゅの在り方に関する検討会」では全く審議されなかったし、新主体探しに奔走した。また、内閣内でも今のもんじゅの安全上のリスクを低減することは、報道で見る限り検討はされていないと言える。

 安全上のリスクを低減するために、上記の諸団体が2項目の要請を行ったのである。

 要請時の規制庁とのやり取りは、勧告文を繰り返すのみで実質的な意見交換にはならなかったが、私たちの要請が、安全に行われればリスク低減の一つ、であることを認めた。

 文科省からの返答をただ座して待つ姿勢でなく、規制委員会からきちんと、返答を促すべきだと6団体は口頭で強く要請して話しあいを終えた。


[i] 「もんじゅ10年で6000億円 政府試算、廃炉含め検討」毎日新聞2016.8.29付

[ii] 「政府もんじゅ廃炉も」福井新聞2016.8.29付

 


 

2016年9月7日

原子力規制委員会

委員長  田 中 俊 一  様

原水爆禁止日本国民会議

議長  川 野 浩 一

原子力発電に反対する福井県民会議

原子力資料情報室

ストップザもんじゅ

反原発運動全国連絡会

脱原発若狭湾共闘会議

 

もんじゅの安全上のリスクの減少を求める要請について

 

 日頃より、高速増殖炉「もんじゅ」の適正管理のために努められています貴職に、敬意を表します。

 さて、原子力規制委員会が、昨年11月13日に文部科学大臣に出された勧告を歓迎するとともにその実行に心より期待するものです。

 この近年、貴組織の検査などのたびに信じられないような事が次々と社会に明らかになり、原子力研究開発機構にはもんじゅの管理は絶対させてはならないと実感していました。

 その折に出された勧告ですから「さすが、原子力規制委員会」と拍手喝采したものです。

 しかし、勧告が示した半年の期日が過ぎた今になっても規制委員会が示された2つの点について文部科学省から明確な回答がなされていません。

 さらに現在文部科学省などが考えているのは、研究開発機構の運転・管理部門を切り離して新たな組織に合体させるなどとの噂が聞こえてきます。

 これでは、田中委員長が言われている「首のすげ替え」にほかならず、許される事ではないと思います。

 一方、自然界は熊本地震をはじめ日本各地で地震が頻発しています。

 近傍に位置する美浜3号炉の基準地震動が993ガルに引き上げられたことをかんがみると、基準地震動408ガルで建設され、耐震バックチェックは760ガルで評価され、ぎりぎり合格したもんじゅを933ガルの地震が襲えば、配管などが破損し、ナトリウム漏えいによる火災、爆発につながることはが避けられません。

 「もんじゅ」が安全上のリスク減少措置を取らないまま現在の議論が長く続くことは、国民を大きなリスクにさらすことになります。

 そこで、貴委員会が勧告の2項目目で求めたリスクの減少を実現させるため以下の事について要請いたします。

  

 

1、核燃料をすべて原子炉から取り出し、別の安全なところに保管するよう命じること。

 

2、同様に火災や爆発の原因となる恐れがあるナトリウムを取り出し、別の安全なところに保管するよう命じること。

 

以上