『通販生活』掲載記事に関する事実関係等について ― 日本原燃の誤解に答える

『通販生活』掲載記事に関する事実関係等について ― 日本原燃の誤解に答える

2009年6月4日
原子力資料情報室 共同代表 西尾漠

 日本原燃のホームページに「『通販生活』掲載記事に関する事実関係等について」と題する文書が、5月20日付で掲載されているのに気づきました。そこで「事実誤認が見られます」とされているのは、原子力資料情報室が『通販生活』2009年夏号に書いた記事「『六ヶ所再処理工場』と『もんじゅ』の運転延期はいつまでつづくの?」です。記事には「文:特定非営利活動法人 原子力資料情報室」と明記され、ホームページのアドレスと電話番号も付されていたにもかかわらず、日本原燃から当室への問い合わせ等はいっさいありませんでした。
 日本原燃が事実誤認と言うのは、記事中の以下の記述です。「六ヶ所再処理工場は、もんじゅの2代あとの高速増殖炉『実用炉』とセットで活用することが考えられていた。再処理工場で取り出したプルトニウムを高速増殖炉の燃料として使うのだ」。
 ここで「六ヶ所再処理工場」とは、「後に六ヶ所再処理工場として具体化する商業用再処理工場」の意であることは、記事に添えられた「高速増殖炉・再処理計画の遅れ方」の図を見れば明らかです。常識を有する原子力関係者が誤解をする余地はなく、あえて誤解して上述の文書を出した意図をこそ疑わせるものでしょう。
 文書はまた、「過去に行われた国の原子力長期計画の議論において、プルサーマルという方向性が、高速増殖炉とともに何度も示されています」とも主張しています。しかし、1967年の長期計画では、プルサーマルは商業用再処理工場の運転開始(昭和60年頃)より以前の「昭和50年代」に利用するとされており、「昭和60年代初期」を目標とした高速増殖炉の実用化までの「つなぎ」であることが、はっきりと書かれていました。当時の計画では、商業用再処理工場で取り出したプルトニウムをプルサーマルに利用するとは考えられておらず、高速増殖炉で利用されることになっていたのです。
 結論として、記事に事実誤認はなかったことをここに確認しておきます。