島根原子力発電所3号機の新規制基準適合性審査事前了解申し入れ 抗議声明

中国電力が5月16日、島根原子力発電所3号機(島根県松江市)の原子力規制委員会への新規制基準適合性審査申請について、22日に島根県と松江市に事前了解を申し入れると発表しました。これをうけ、5月18日、当室を含む全国の76団体が共同で以下の抗議声明を発表しました。

 


2018年5月18日

中国電力株式会社 

代表取締役社長執行役員 清水希茂様

 

抗 議 文

貴社は5月22日に、「島根原発3号機の運転開始に向けての新規制基準適合審査申請の事前了解に向けての手続き(以下、「事前了解手続き」と記す)」を行うことを明らかにした。

2011年3月11日に発生した福島原発震災による避難者は、7年が経過した今日においても5万人を超えている。政府は強制的に帰還政策を進めているが、現在の放射線量の中で、帰還する人は僅かである。一方で子どもたちを中心に甲状腺がんは増え続け、これまでに194人が甲状腺がんを発病、159人が手術を受けたとされている。また、福島第一原発の廃炉に向けての道のりは、その工程も費用もまったく見通せない状況である。

現在も原発事故の真相は明らかになっていない。原子力規制委員会は、島根原発と同型の沸騰水型原発である東京電力柏崎刈羽原発6,7号機を、新規制基準に適合しているとしたが、「適合審査項目に従い合格にしただけで,原発の安全が確保されたわけではない」と、責任逃れをしている。

多くの国民は、圧倒的に原発は嫌だという声を発している。それは様ざまな世論調査によって明らかにされている。先日実施されたメディアでの世論調査でも、原発事故への「懸念」を持つ人が大半を占め、逆に「新基準で安全性が向上し、深刻な事故も起きない」は僅か5%である。

島根原発では南側約2㌔の場所に、東西に走る活断層「宍道(鹿島)断層」がある。かつて島根原発が最初に建設された時点では、貴社は「活断層は無い」と明言していた断層である。それをこの度39㌔と認めた。これで十分だとしているようだが、断層の長さの評価の延長が相次いでいる貴社の態度からは、不信感だけである。この断層について私たちは、東に約6㌔の地点から東方へ延びる鳥取沖西部断層(貴社の長さ評価約40㌔)と連動しているという懸念を持っている。さらに鳥取沖東部断層も含めて連動を考慮すれば、およそ140kmもの長大な活断層となる可能性がある。

また、再処理工場の稼働や核のごみの処分さえ見通しの立たない中、新たな3号機の稼働は、処分の困難な使用済核燃料を増加させるばかりであり、現在と未来に対する無責任極まりない間違った選択である。

島根原発の30㌔圏内の自治体は、島根県内では松江・出雲・安来・雲南、鳥取県内では境港・米子の各市がある。この度の事前了解手続きに関連して、耐震設計の目安となる基準地震動の評価が規制委員会の了承を得た際、3号機の申請手続きに言及したことに対して、鳥取県の平井伸治知事は貴社に対し「説明をきちんと受けたことは今までない。一からていねいに話を聞く必要がある。」と、貴社の勇み足に苦言を呈している。これまで3号機の建設に関しては「周辺自治体」に対しては何ら説明をせず、蚊帳の外に置いて進めてきた。

申請手続きに入る前に、まずは、周辺自治体に対し、ていねいな説明をし、理解を得ることから始めるべきである。福島原発事故を経験した今、もはや「立地自治体」と「周辺自治体」への異なる対応は許されない。2017年4月「脱原発をめざす首長会議」から、安倍首相と世耕経産相に対し、周辺自治体の「同意権」を明記する申し入れがされていることは、承知のはずである。

また島根原発において避難を行う事態になれば、30㌔圏内自治体から広島県内に約16万9千人が、岡山県内に約10万1千人が避難をすることが、島根県・広島県・岡山県の3県において締結された「広域避難に関する協定」で明らかになっている。

「事前了解手続き」を行うのであれば、30㌔圏内自治体はもとより、避難先となる広島・岡山両県にも同意が得られるようにすべきである。

猛暑といわれた夏季にも、とりわけ気温が下がった冬季も、電力余り状況となっていた。貴社が発表している「中長期のエリア需給バランス見通し(8月、送電端)」においても、島根原発3号機が動かなくても、上関原発が建設されなくても、これから先の10年間も大幅な余剰電力が生じることが示されている。

まだ島根原発3号機については、核燃料が装填されていない。いったん稼働してしまえば、施設は放射能に汚染され、廃炉のためには膨大な費用がかかることになる。稼働を思いとどまれば、原子炉内に自由に立ち入ることができ、研修施設や観光施設として活用を図ることができる。まさに「動けば負債、やめれば資産」である。

1978年世界中が原子力発電の夢に酔っていた時に、ある科学者が「原発は滅びゆく恐竜である」という論文を書いた。40年前の指摘の正しさが明確になっている。

悲惨な事態を二度と起こさないためには、すべての原発の停止と廃炉、それしか解決策などありえない。これが福島第一原発事故から学ぶべき教訓である。

 私たちはこの度の島根原発3号機の、「事前了解手続き」を行うことに強く抗議するとともに、直ちに手続きを中止することを要請する。また島根原発2号機の廃炉を求める。


抗議団体名は下記の通り(順不同)】

2018年5月18日現在 76団体

【山口県】

原発いらん!山口ネットワーク/原発いらん!下関の会/上関原発を建てさせない祝島島民の会

【島根県】

島根原発・エネルギー問題県民連絡会/三隅火電を考える会/島根原発増設反対運動/原発のない社会をめざす山陰の会/NO NUKES いわみの会/I(アイ)女性会議しまね/和・輪・羽の会/人権パッチギの会/多文化共生みっくすさらだ/島根県労働組合総連合/島根原発・エネルギー問題松江地域連絡会/市民共同発電まつえ

【鳥取県】

えねみら・とっとり(エネルギーの未来を考える会)/I(アイ)女性会議鳥取県本部/市民エネルギーとっとり/青谷反原発共有地の会/米子市政研究会/原水禁鳥取県民会議/鳥取自然保護の会/青谷原発設置反対の会/ウラン残土市民会議/反原発新聞鳥取支局/鳥取県反核・平和の火リレー実行委員会/鳥取県高等学校教職員組合/反原発市民交流会・鳥取/反原発市民交流会・鳥取県中部/脱原発しょいやinとっとり

【島根・鳥取両県】

さよなら島根原発ネットワーク

【岡山県】

I(アイ)女性会議岡山/核に反対する津山市民会議/NO NUKES美作/放射能のゴミはいらない!県条例を求める会/さよなら原発1000万アクションin岡山実行委員会/平和を守る女たちの会岡山

【広島県】

原発はごめんだヒロシマ市民の会/さよなら原発ヒロシマの会/上関原発止めよう!広島ネットワーク/さよなら原発みよしの会/I女性会議広島/ピースリンク広島・呉・岩国/原水爆禁止広島県協議会(原水禁)/脱原発へ!中電株主行動の会 

【全国】

東電株主代表訴訟/脱原発・東電株主運動/再稼働阻止全国ネットワーク/ノーニュークス・アジアフォーラム/ベクレルフリー北海道/道民視察団/若狭の原発を考える会/反戦老人クラブ滋賀/「脱原発」桜井の会/さよなら原発なら県ネット/さよなら原発北葛の会/奈良脱原発ネットワーク/脱原発とうかい塾/脱原発アクションin香川/さよなら玄海原発の会・久留米/玄海原発反対からつ/原発いらない介護者の会/命(いのち)を考える福島と鹿児島の会/原発いらない福島の女たち/福島原発30キロ圏ひとの会/たんぽぽ舎/虹とみどりの会/緑ふくしま/みやぎ金曜デモの会/反原発自治体議員・市民連盟/東日本大震災被災者支援千葉西部ネット/グリーンズ千葉/玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会/新日本婦人の会/原子力発電に反対する福井県民会議/原子力資料情報室 

 

連絡先団体

原発はごめんだヒロシマ市民の会

代表:木原省治