「原子力安全改革法案」に反対する
「原子力安全改革法案」に反対する
政府は27日にも「原子力安全改革法案(原子力の安全の確保に関する組織及び制度を改革するための環境省設置法等の一部を改正する法律案)」を閣議決定し、次期通常国会に提出する予定という。
問題の第一は、「40年運転制限+20年以内の延長」を導入することである。停止中原発の運転再開と運転の継続をもくろむものであり、とうてい容認できない。
しかも、既に40年を経過している炉は、2015年末まで実質4年近く猶予期間が設けられるという。「40年超はあくまで例外」と言うなら、まずはこれらを直ちに廃炉にすべきだろう。
また、「原子力安全庁(仮称、「原子力規制庁」になるらしいが、ここでは仮称のままとする)」の設置についても、経済産業省からの独立が環境省に属することでは、独立性に疑念が残る。自民党が対案を提出するとも報じられているように、「3条委員会」とするのが本筋である。
さらに問題なのは、「原子力安全調査委員会(仮称)」の事務局機能を「原子力安全庁」が担うとされている点である。これは、かつて原子力安全委員会の事務局機能を科学技術庁が担っていたのと同じ形であり、「規制行政の独立性を確認」する委員会の独立性が担保されないことになる。
「原子力安全庁」の職員が、「やらせ」を行なっていた原子力安全・保安院からの横滑り約360人(メーカーや電力などのOBをふくむ)を主力とし、同院ともども福島原発事故においてまったく有効な働きのできなかった原子力安全委員会事務局約70人と、文部科学省原子力安全課からの40人を合わせて組織されると報じられていることも、看過できない。これでは、職員自体に独立性が期待できないではないか。
以前から求め続けられながら放置してきた安全規制行政の改革を拙速に進めようとすることに無理がある。法案の閣議決定を急がず、改めて問題点を総合的に検討して、より適切な改革方針を練り上げることを強く求めたい。
(西尾漠)