福島第一4号炉・調整運転中にトラブル重なる

福島第一4号炉・調整運転中にトラブル重なる

 原子炉起動中の東京電力・福島第一4号炉(沸騰水型炉、78.4万キロワット)で11月28日、緊急炉心冷却装置の一つである高圧注水系の試運転を行なったところ、系統に必要な流量が得られていない状態であることが確認されたため、保安規定に従って、一種のバックアップ装置である原子炉隔離時冷却系の機能のチェックを実施した。ところが、原子炉隔離時冷却系も流量が得られていないことが判明した。
 原子炉起動操作を中断して調査した結果、本来開いているはずの両系統で共有している復水貯蔵タンクへの冷却水戻りラインの弁が閉じていたことが原因と分かった。11月30日には、この弁の開閉状態を指示する装置がサビのため全開を示した状態で固着したまま連結棒が折れていて、弁が閉まったままになっていたことが判明した。
 連結棒などの補修後、福島第一4号炉は12月3日から調整運転を開始し、電気出力を59万キロワットまで上げたところ、復水器の真空度が低くなっているのが見つかった。その後出力を下げると真空度低下は治まり、上げると真空度が低下するという現象がくり返されたのち、12月10日になって、タービン建屋地下1階にある高圧復水ポンプ入口側の配管に取り付けられたサンプリング用配管の溶接部から水漏れが起きているのが見つかったため、12月12日に原子炉を停止した。

『原子力資料情報室通信』379号(2006.1.1)短信
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