「プルトニウム利用計画」に関する要請書
原子力委員会
委員長 近藤駿介 殿
「プルトニウム利用計画」に関する要請書
2006年1月16日
原水禁国民会議
原子力資料情報室
グリンピース・ジャパン
「止めよう再処理!青森県実行委員会」
1.1月6日に公表された11電力会社の「六ヶ所再処理工場回収プルトニウム利用計画」に関して、関係自治体(県市町村)、住民、識者からのヒヤリングを実施すること。
2.不透明な「プルトニウム利用計画」に「妥当性はない」ことを認め、六ヶ所再処理工場場の試験運転の中止を勧告すること。
3.日本のプルトニウム利用計画にたいする日本国内のみならず、海外からも意見を求めるパブリックコメントを実施すること。
1月6日電力会社11社は、2005年度と2006年度に六ヶ所再処理工場で分離される「プルトニウムの利用計画」を公表した。計画は、プルトニウムについて、いつ、どこで、いくら利用するのかを明らかにし、抽出された全てのプルトニウムを利用することが確認できるものでなければならない。しかし今回の計画において多数の電力各社は、2005年度と2006年度分のプルトニウムの発生量1.6トン(核分裂性プルトニウム)の利用場所、利用時期や利用量について、具体的に示すことができなかった。
このプルトニウム計画で東京電力は、プルトニウムの「利用場所」について、号機はおろか原発名すら挙げることができなかった。東電が原子力発電所を有する福島・新潟の両県がプルサーマルの事前了解を白紙撤回したからである。両県にしか原発のない東電には、プルトニウムを利用する原子炉などどこにも存在しない。関西電力も平成16年8月に発生した美浜発電所3号機事故によって地元の信頼を失い、具体的な計画を示すことがきない状況である。他の電力会社のプルトニウム利用計画の中に地元了解が得られた計画は一つもない。そのため国の認可も得ておらず建設されてもいない大間原発(電源開発)をプルトニウムの利用場所として挙げ、プルトニウムの多くの部分を利用することにするという非現実的な計画となっている。
原子力委員会がこのような実態を踏まえれば、利用計画の妥当性を確認できるはずがない。公表された電力11社の「プルトニウム利用計画」を「妥当性なし」とするべきである。
さらに公表された「プルトニウム利用計画」は、すでに9年前1997年に公表された電力11社のプルトニウム利用計画からも大幅に後退している。日本が国内外に既に保有している43.1トン(海外37.4トン、国内5.7トン)のプルトニウムの使途について、全く曖昧にしているからである。これらのプルトニウムの多くの部分には明確な使途がなく、「余剰プルトニウムを持たない」という国際的公約から明らかに逸脱する状態となっている。今六ヶ所再処理工場を稼働させれば、余剰プルトニウムをさらに増大させることは避けられず、このような意味からも六ヶ所再処理工場の試運転を正当化することはできない。
「六ヶ所再処理工場回収プルトニウム利用計画」は工場のアクティブ試験開始のため、従来の計画の形だけをなぞって辻褄を合わせたものにすぎない。このままアクティブ試験を開始すれば、分離されるプルトニウムがそのまま余剰プルトニウムとなることは明白である。原子力委員会は電力各社のプルトニウム利用計画に「妥当性がない」ことを認め、六ヶ所再処理工場の試験運転の中止を勧告するべきである。
以上